「市民の生活と安全のために」中国資本進出を拒否した仙台市長梅原克彦氏の英断
「わが故郷に中華街は作らせない」
(SAPIO 2008年8月20日・9月3日号掲載) 2008年9月12日(金)配信
だが、「外交とは、そういうもの」と語る梅原は、決して「中国特殊論」を主張しているわけではない。
「中国は中国なりに、懸命に国益を考えている。ところが、日本人は、こちらが友好的な態度を示せば、向こうもフレンドリーになる≠ニ思い込む人が多い。今回の四川大地震の際は、仙台市でも実際に友好都市の長春市を通じて、援助物資を送ったりしています。日中間は、経済面では貿易などでのメリットがあり、留学生など人的交流は、これからも続いていくでしょう。
その一方で、最近では、毒餃子で判明した食糧問題や、エネルギー問題、尖閣諸島をめぐる領土問題で、日中間は常時緊張を強いられています。その両面性を私たちは理解しなくてはいけません。
どんな時代でも、どの地域においても、隣国同士が未来永劫、友好一辺倒であることは、現実にはあり得ない。歴史的に日中関係は聖徳太子の時代から、緊張と友好の間で揺れ動いてきた。日本の不幸は、いまだに中国の戦略に気づかされない立場に置かれたままであることだと思っています」
今年、中国関連で、最もエポックメイキングな出来事が日本で起きた。4月26日の長野での聖火リレーである。長野には全国から4000人以上といわれる中国人留学生が集結し、日本人を震撼させた。
「東北大学にはいま1000人以上の中国人留学生が来ています。他方、長野の聖火リレーには、大勢の中国人留学生が長野に出かけ、畳二畳分くらいの五星紅旗を振っています。これには日本人は強い不安感を覚えたと思いますよ。
実は私も聖火リレーの当日朝に、長野にいました。街の雰囲気は、それは極めて異様でした。
初めての五輪開催で、中国人留学生のナショナリスティックな心情の高揚はよくわかりますが、やはり外国在住時の振る舞いとして、あの長野の光景は多くの日本人たちには異様に映った。その点を中国人留学生の皆さんはもう少し考えた方がいいと思いますし、親しい中国人の学生にもそう伝えました」
中国人の移民や留学生は今後ますます増えていく公算が大きい。しかし、「中国の国家戦略に気づかない日本」が「1000万人移民計画」に突き進むことについては、梅原は批判的だ。
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