2009年7月30日 17時57分 更新:7月30日 18時41分
神奈川県横須賀市で08年3月、東京都品川区のタクシー運転手、高橋正昭さん(当時61歳)が殺害された事件で強盗殺人罪などに問われたナイジェリア国籍の米海軍1等水兵、オラットゥンボウスン・ウグボグ被告(23)に対し、横浜地裁は30日、求刑通り無期懲役を言い渡した。川口政明裁判長は「強い殺意に基づく冷酷かつ残虐な犯行」と指摘した。
弁護側は事実関係を認めたが、ウグボグ被告が「声の指示に従った」と供述し、売上金などを奪わずに逃げたことなどから、精神疾患の影響を理由に無罪を主張していた。判決は「いかなる精神疾患にも罹患(りかん)していなかった」と判断。高橋さんが叫び声を上げたので金を奪わずに逃げただけだと指摘、弁護側主張を退けた。
判決によると、ウグボグ被告は08年3月19日午後9時20分ごろ、同市汐入町の路上に止めたタクシー内で、高橋さんの首を包丁で刺し殺害、料金1万9560円の支払いを免れた。
米兵の容疑者は日米地位協定により原則起訴後に日本側に引き渡されるが、ウグボグ被告は日米合同委員会を経て起訴前に引き渡された5件目の事例となった。【杉埜水脈】