■ 米国発ファイナンシャルエンジニアリング・証券化は”悪”か?
● ”ウオールストリートにロケットサイエンティストが就職している”と報じられて久しいですが、リスクとリターンについてスーパーコンピューターレベルの分析をし、複雑な金融商品を創造・販売することが米国の投資銀行等金融機関により行われてきました。格付けし、証券化・小口化してより売り易くしたわけです。これら金融商品も元はと言えばキャッシュフローという安定的リターンを生み出すオフィスビル、ショッピングモールや賃貸マンションであったりするわけですが、こうした資産は本来市場の実需にマッチして供給され値付けされなければならない筈が、実際には金融商品が先に創作されそれに当てがう形で過剰なまでのファンドが組成され、ビルや住宅が建設・供給されてしまったのです。日本でもワンルームマンションがこの典型例で、現状空室が目立ちます。
● サブプライムローンよりずっと前に米国では独立系電力デベロッパーのエンロン事件が有名です。エンロン社は未だ発電所の建設予定地も確保されていないプロジェクトの売電契約を先物として格付け、金融商品化・証券してばら撒いたわけです。この結果、飛ぶ鳥を落とす勢いであったエンロン社は粉飾決算で倒産、それを会計監査していた世界のアーサーアンダーソンがまさかの破綻をしてしまいました。サブプライムローンも金融商品・証券化ありきのマネーゲームが暴走した結果、無理やり考案された(不安定な)キャッシュフロー・産物と言えるかもしれません。本来投資の対象とはならないジャンクボンド(投資不適格債)であった分けです。
● 前置きが長くなりましたが、ファイナンシャルエンジニアリングや証券化がマスコミなどにより”諸悪の根源”のように言われておりますが、実需・ビジネスに基づくFEや適度の借入金によるレバレッジ、そして証券化はウオールストリートが発明した、素晴らしいツールであり今後も無くなることは無いと思います。問題なのは、現物や実需を無視・軽視した金融商品と度を超えたレバレッジであり、それらを創造・販売した金融機関と、購入した投資家の”強欲”に原因があると思います。 (吉村記)
■ ドイツと日本、どちらが環境先進国?
● 太陽光発電、風力発電、燃料電池、ゴミの分別・リサイクル技術、ゴミの焼却・発電、更にはハイブリッド・エコーカーなどの環境リサイクル・省エネ関連技術では日本は間違いなく世界でトップにあると思います。欧米ではタバコで顕著ですが嫌煙意識が元々強く、又平坦な土地の広い国が多く、ゴミも埋め立てが主流です。遺体も土葬。一方、国土の狭い日本ではゴミは焼却が一般的で、遺体は火葬です。但し、欧米でも埋め立て用地が不足気味になってきており且つ重金属など有害物の地下水への流出が問題となり、焼却へ移行し始めています。欧米は元より中国・アジアなどでも日本のゴミ焼却・発電技術やダイオキシン対策技術が、更に広まることが期待されます。日本人の持つ”もったいない”とか”節約”の精神も相まって、日本の環境リサイクルや省エネ技術は世界をリードしています。
● 一方、環境に優しい循環型社会実現には、技術もさることながら、住民、自治体・国、メーカー、処理・リサイクル業者、リサイクル品販売業者など生産、消費、ゴミ分別・収集・運搬、処理、再利用に至るまで、合理的リサイクルの環が構築されなければ上手く行かない、長続きしないのです。私が以前視察した、ドイツ、フランス、米国などの先進国の中で、一番印象に残っているのはドイツです。ドイツでは社会システムが確立しており、行政はもちろん、住民の環境保全意識と貢献しようとする姿勢など民度の高さを感じました、具体的には:
● 住民が風力発電施設に投資すると、投資減税が受けられます。一口10万円ぐらいで、リターンも決して高くないのですが、友人などに自分は風力発電に投資して・環境保全に貢献していると誇らしげに語るのです。電力会社も効率が悪くコストの高い風力発電を敬遠するのではなく、火力よりも2倍も高い風力による電気を買取ることにより、グリーン企業としてのイメージをPRしています。一方、日本では従来から風力発電や太陽光発電は敬遠されてきており、国や電力会社も漸く重い腰を上げようとしてるところです。住宅屋根の太陽光発電も補助金などにより今後普及が進むことに期待したいと思います。
● ゴミの分別は堂でしょうか?ドイツでは精々5種類ぐらいです。即ち、金属、新聞紙などの紙、プラスチック、ガラス瓶、生ゴミはキッチンシンクに破砕機が設置されており、砕かれて下水管に流されます。日本では自治体により異なりますが、某市では10数種類にも分別し、プラスチックなどは埋め立てもリサイクルもされずに、結局他のゴミと一緒に焼却されているケースも多いのです。プラスチックを分別したためにゴミのカロリーが下がってしまい、燃料重油を増やしたという笑えない話があちこちの自治体で発生しました。必要以上の分別は手間、コスト、時間が掛かるのであり、何のメリットもありません。又日本で大きな問題なのはペットボトル・飲料の氾濫です。ちびちび飲める便利さ、中が見えるなどの特徴からペットボトルがあっという間に普及してしまったのです。他の先進国ではガラス瓶、金属缶、紙容器が主流であり、原料が石油で且つリサイクルが難しいペットボトルは生産量を抑制しています。日本は無制限です。
■ フランスのゴミ行政に学ぶ効率的社会システムについて
● 一方、フランス環境省訪問で参考となったのは、企業がゴミを1トン捨てる毎に環境税をいくらか支払う義務を負うというシステムです。その環境税を使って、リサイクルセンター建設、ごみ発電施設のダイオキシン対策設備導入など行っています。余談ですが、パリのシャンゼリゼ通りにはゴミ箱が殆ど有りません。設置するとゴミを捨てる人が増えるからだそうです。ゴミの発生量そのものを減らすことが最も重要で、その点では、日本の食品、デパートやファーストフードなどでの過剰包装、使い捨て容器など本当に何とかならないのかと思います。
● もう一つ、フランス環境省で参考になったことがあります。ゴミ発電所が人口約30万人単位・括りの”カウンティ”という地域、日本で言うと”郡”とか”区”といった単位で設置されていることです。一方で昔ながらの町村の地名は残されています。このカウンティという単位では、行政はもちろん、地域病院、福祉施設、学校、スポーツ施設、公園、警察、消防、郵便、税務署なども効率よく機能しており、住民の日々の生活が合理的にサポートされているようです。アメリカにもカウンティという単位が存在します。日本でも大いに参考にすべきであり、平成の大合併で全国自治体即ち市町村を約3300を約1800に統廃合・削減したようですが、機械的・強制的に行われた地域も多く、結果として歴史と伝統のある名称が失われる一方で奇妙な新名称が付けられたり、不必要な行政施設が新たに建設されたことには納得しておられない方も多いのではないかと思います。日本でも人口約30万人単位のカウンティで括れば、自治体の数は約330ぐらいに集約される筈であり、殆どの市長・市議会・議員とか町長・町議会・議員など不要となります。現在の高額な住民税も大幅に下げられる筈です。一方で昔からの伝統ある名称・呼称はそのまま残すことで、地域住民の故郷を愛する心・伝統を大切にする心は尊重されると思います。
● 更に日本では道州制の議論が出たりしておりますが、屋上屋を重ねることになるだけと思います。江戸時代からの藩、それを引き継いだ47都道府県が我が国には最もフィットしていると思います。方言、仕来り、郷土料理、特産品・おみやげなど殆ど県が基本になっています。県を核として、その下に前述の人口30万人位のカウンティという行政単位で括り、市町村は出張所とか名前だけを残すのが効率的であり、これにより政治家や官僚の頭数も大幅に合理化できると思います。高校野球が面白いのも47都道府県の代表校が甲子園で戦うからだと思うのですが、如何でしょうか。
● 長々と述べてきましたが、要するに日本では社会システムが未熟・非効率であり、特に欧州先進国に学ぶ点が多くあると思います。昨今の派遣切りに関しオランダの失業保険、職業訓練・社会復帰の制度がNHKで紹介されていましたが、人間を大切にする国、大人の国との印象を強くしました。高齢化社会を迎え、介護や福祉施設にしても、日本はマダマダだなあと痛感させられる此の頃です。 (吉村記)
■ Private Finance Initiative = 日本版PFI・民営化は進んでいるか?
(準備中)