【コラム】飲酒運転をなくすために(下)
MADDは80年、キャンディー・ライトナーさんが設立した団体だ。カリフォルニア州に住むライトナーさんは、13歳だった娘を交通事故で失った。事故を起こした運転者は以前にも、飲酒運転で事故を起こし逃走した前科があった。飲酒運転で3回も摘発されたが、うち2回は実刑判決を受けながら、保釈金を支払い翌日に釈放された。ライトナーさんは飲酒運転の根絶に向けた活動を展開するため、MADDを設立した。その後、MADDは酒に酔った運転者が事故を起こした場合、最高の法定刑を適用する法律を制定するよう求める運動を展開した。
韓国政府が最近、8月15日の光復節(日本の植民地支配からの解放記念日)に際して行われる特別赦免で、飲酒運転者まで対象に含める意向を固めた、と報じられた。生計を立てることを目的とした運転行為で、初犯の場合に限定してはいるが、飲酒運転に対する処罰感情を弱めることになりかねない、と懸念する声も少なくない。「生計を立てることを目的とした運転行為で、初犯の場合」という条件からして話にならないというわけだ。実際のところ、赦免対象者の大部分は、営業用ではなく乗用車の運転者だ。
飲酒運転が減らない最も大きな理由の一つが、「運が悪い人が捕まる」という誤った認識が社会全体に広がっているということだ。これは警察の取り締まりの方法にも問題がある。住宅地や集合住宅の入り口で「ネズミ捕り」式の取り締まりを行ってきたため、「取り締まりの場所さえ分かっていれば捕まらない」という誤った認識が広がった。あるテレビ局の深夜ニュースでは今年4月から、ソウル市内のどこで警察が飲酒運転の取り締まりを行っているか、リアルタイムで視聴者に伝えている。ソウル地方警察庁傘下の警察署の取り締まりに関する情報を集め、警察官がその場所を直接案内している。飲酒運転を未然に防ぎ、国民の意識を高めることが目的だとしているが、「取り締まりを逃れる方法」を教えているという印象は否めない。「取り締まりを逃れる方法」や「赦免の対象になるまでの辛抱だ」といった運転者の誤った認識を改めるためには、政府当局がまず考えを改めねばならない。
趙正薫(チョ・ジョンフン)記者(社会部次長待遇)
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