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【コラム】飲酒運転をなくすために(上)

 1897年9月10日、25歳のタクシー運転手ジョージ・スミスは、自ら運転するタクシーで歩道に突っ込み、建物に衝突した。スミスは1リットル以上も入る大きなグラスで、アルコール度数の高いビールを3杯も飲んでいた。幸いにも死傷者は出なかった。スミスはその場で逮捕され、罰金刑を受けた。これは世界で初めて、飲酒運転が処罰された事例だ。

 警察庁によると、昨年1年間に飲酒運転が原因で計2万7000件の交通事故が発生したという。死者は969人、負傷者は4万8500人に上った。1日に約3人が飲酒運転によって命を落としているという計算だ。

 韓国でも飲酒運転に対する規制の歴史は浅くない。日本統治時代の1914年8月18日に施行された「馬車取締規則」の第14条は、「御者(運転手)らは酒に酔って営業したり、乗客などに乱暴な言動をしてはならない」と定めている。

 飲酒の程度による基準が初めて設けられたのは62年のことだった。当時の道路交通法施行令では、飲酒運転の基準値とする血中アルコール濃度を「0.05%以上」とした。この血中アルコール濃度の基準は47年間、一度も変更されることなく、現在に至るまで適用されている。

 これは欧米などの先進国で、飲酒運転の取り締まりの基準や処罰のレベルを強化しているのとは、大きな隔たりがある。スウェーデンでは飲酒運転の基準値とする血中アルコール濃度を0.05%から0.02%とし、日本も0.05%から0.03%に変更した。ドイツは2007年、「ゼロ・アルコール法」を制定し、「21歳以下の若年運転者、または運転免許を取得してから2年未満の初心運転者が、血中アルコール濃度0.01%以上の状態で自動車を運転し摘発された場合、最大3000ユーロ(約40万円)以上の罰金とする」と規定した。たとえ一口でも酒を飲んで運転すれば処罰するというわけだ。

趙正薫(チョ・ジョンフン)記者(社会部次長待遇)

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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