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京教大集団準女性暴行事件 大学生、低い性犯罪意識 京都教育大(京都市伏見区)の男子学生6人が集団準女性暴行容疑で逮捕された事件を取材して、大学生全般に、飲酒の上でのみだらな行為が犯罪になるとの意識が低いと痛感した。飲食店という公の場で複数による性行為にもかかわらず、逮捕された当事者が「合意の上」などと主張したり、被害を訴えた女子大生への中傷がインターネットで飛び交ったからだ。
京都府警によると、事件は2月25日夜、中京区の飲食店で起きた。未成年者を含めて約90人が参加し、一気飲みが繰り返された。逮捕された6人は、ビール十数杯を飲んで酩酊(めいてい)した女子大生=当時(19)=を別室へ連れて行き、従業員に見つかるまで性的な暴行を加えたという。
京教大によると、別の男子学生3人は目撃したのに制止しなかったという。
逮捕の一報に耳を疑った。教師を志す学生の行為とは信じられなかったからだ。
府警によると、6人のうち4人は行為自体は認めた上で、「合意の上だった」と供述したという。いつ人が来るかも分からない場所で複数の男性と性行為をすることを、正常な判断で受け入れることはあるまい。世間との認識のずれを感じる。
「スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワーク」の亀井明子代表(62)は「男性は、酔って力が入らず抵抗しにくい女性への性的行為が犯罪になると自覚すべきだ。同様の事件を防ぐには、男性の意識を改めるしかない」と指摘する。
事件は、女子大生が示談に応じ、幕引きとなった。釈放された6人は無期限停学中で、定期的に指導教員と連絡しながら復学を目指しているという。男子学生(22)は取材に対し「何も思い出したくない」と口をつぐんだ。
インターネットでは、逮捕直後から「酒を飲んで潰(つぶ)れる女が悪い」「すべて自己責任」などと女子大生を中傷する書き込みが相次いだ。京教大のほか、計4大学が、書き込んだ学生を処分する事態になった。
不適切な書き込みが続いた背景には、性犯罪の被害者を好奇の目で見る風潮があることや会員制サイト「mixi(ミクシィ)」などの匿名性がある。逮捕された学生の言い分を知人が書き込み、その真偽を確認しないまま、それを前提に書き込みが広がった。中傷によって、女子大生が2次的な被害を受けたことは容易に想像できる。
性犯罪に詳しい大阪弁護士会の養父知美弁護士(51)は「被害者バッシングや加害者擁護の書き込みが原因で、女性が告訴を取り下げたのなら、ますます被害を訴えにくい社会になるかもしれない」と懸念する。
大学は授業を通して、学生に性犯罪の正しい知識を広めてほしい。男性には、女性が受けるダメージはもちろん、軽はずみな行動で自らの将来を失いかねない大きな代償を背負うことを忘れないでほしい。 |
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