NO.3 格安ワイン庫のおすすめ(No.2) とうとう梅雨になってしまいました。うっとうしい日が続きますが、梅雨寒の間はまだワインにとって過ごしやすい日々。梅雨前線がいなくなった日本ではワインは持ちません。 とりわけ、合成保存料の入らないオーガニックワインにとってはとてもつらい季節になります。 どうしてもワイン庫が欲しくなります。 さて、先月ご紹介した3000円で作るワイン庫について、ご質問を多くいただきました。 そこで、今回は製作方法をもう少し詳しく説明いたしたくおもいます。 1. 冷蔵庫の入手 改造に使用する冷蔵庫は、ただ冷やすだけのシンプルな構造のものが最適です。 50-60年代のアメリカ映画で出てきそうな1ドアのタイプです。 日本では、70年代より2ドアの冷凍冷蔵庫が普及してきましたので、アメリカングラフィティーなんて夢でしょうが、基本的には2ドアも冷凍庫に冷却機のON-OFFのためのサーモスタットがあり、冷蔵室には冷凍室の冷気を別のサーモスタットで調整して冷蔵室に取入れるものがほとんどです。 3ドアの野菜室などは、冷蔵室の冷気をさらに調整して取り入れる構造です。 冷蔵庫の冷却装置自体が壊れることはめったになく、買い替えは単に古くなったからとか、引越でスペースが変わったとかいうことがほとんどです。どうせ改造するのですから、リサイクルで入手することをおすすめします。前回も書きましたが、電気屋さんに声をかけておけば、だいたい、ただで手に入ります。 最新式の冷蔵庫は、コンピューター制御で省エネのうえ多機能で便利なのですが、アナログな改造にはちょっと不向きです。 単身者用の小型冷蔵庫の場合、ただ冷やすだけのシンプルなものもありますので、新品でも使えます。 2. サーモスタットの入手 サーモスタットにはアナログ式のものと電子式のものがあります。 アナログ式は、温度設定がやや大雑把ですが、価格が安いのが特徴です。 電子式は、温度設定が表示どおりで正確ですが、高価です。 ワイン庫の場合、13-16℃くらいが保たれれば良く、電子式の精度を要求されません。 したがって、アナログ式で充分です。 価格は、インターネットで調べると、結構高く、8000円以上するものがあるようですが、秋葉原の坂口電熱でなら、3000円を切って入手できます。品番は13L-1です。 このサーモスタットでかなりたくさん作りましたが、トラブルは経験していません。 3. サーモスタットの交換 交換するサーモスタットは、冷却機をON-OFFするものです。 これは、大型タイプの場合、通常、冷凍室の中にあります。 単身者向けの小型冷蔵庫の場合、冷蔵室にあることが多いようです。 ネジで固定されていると思います。 外しますと、サーモスタットには数本のコードがつながっています。 必要なのは、ON-OFFのための2本だけです。見分け方は、電源を入れて、コネクターを外して、冷却機が停まるものを2本選び出します。他のコードは、霜取りヒーターなどのものですから、不要です。 必要な2本を、新しいサーモスタットの1端子と4端子に接続します。 元々のコネクターの寸法が合わない場合は、ラジオペンチやドライバーなどで調整してください。はんだ付けは禁止です。 使用しないコードのコネクターはビニールテープで絶縁しておきます。 サーモスタットの固定は元の部品をネジ穴をあけなおすなど加工して使われるのが良いでしょう。(ON-OFFの機能上だけなら、固定しなくてもかまいません。) サーモスタットの感熱チューブ部は折れやすくなっています。伸ばすときも曲げるときもそろりと注意深く、つぶさないようにしてください。 感熱チューブはじゃまにならないところに、ビニールテープなどで、固定してください。 1ドアや、単身者用の小型2ドアならばこれで完成です。 大型でも、サーモスタットを入れた部分のみ使う場合はこのまま使えます。 4. 大型冷蔵庫の各室隔壁撤去 大型の2-3ドアですと、各室の境の隔壁ををなるべく取り払い、全体に冷気を行き渡らせて、大きなワイン庫として使いたいものです。 まず、冷気の調整をしている(通気口の開け閉めで)サーモスタットを撤去します。 冷凍室と冷蔵室の隔壁はプラスティックでできており、中には冷却用のコアがあり、発泡スチロールの断熱材が入っています。冷却用のコアを傷つけますとフロンガスが洩れて、冷蔵庫は粗大ゴミになってしまいます。また、コアをむき出しにするわけにもいきません。そこで、半田ごてを使い、プラスティックと断熱材を溶かして、穴をあけます。この穴をたくさん開ければ冷気が良く流れ、全体が同様に冷えることになります。 かなりしっかり開けても温度差はできます。そこで、白ワインを元の冷凍室、赤ワインを冷蔵室と使い分けましょう。 5. 棚の製作 冷蔵庫には、元々棚がついていますが、いらない出っ張りがあったり、プラスティックがもろく、ボトルの重みに耐えられない場合があります。そこで、ボトルを並べる棚は5mm厚くらいのベニヤ板を冷蔵庫の幅に切って使います。このベニヤ棚板をもともとあった棚を支えるスリットに差し込むだけです。スリットの高さが気に入らない場合は、冷蔵庫の内側側面に支え木を立てて、それに固定すればできます。 6.温度管理 ボトルを入れる前に温度計を放り込み、冷蔵庫の電源を入れ、様子を見ます。サーモスタットを調整して、14-5度になるようにしてください。(冷蔵庫を移動させた場合、冷媒のフロンが落ち着くのに少し時間がかかりますので、30分以上置いてから電源を入れてください。) ワインは最初からたくさんいれずに、少しずつ増やしていく方が、安定するようです。 7.湿度管理 コップかバットに水を入れて冷蔵庫の中に置きます。冷蔵庫として使う低温ではなく、14-5℃ですと、あまり乾燥しませんので、この程度で十分です。 このワイン庫さえあれば、熱い日本の夏にめげずにワインを楽しめます。たいした投資ではありませんので、ぜひ、週末の工作をされますようにおすすめします。 マヴィ店主 田村安の個人ホームページもできました |
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