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【政治】

自民、批判戦術に集中 政権公約遅れ 『選挙の顔』なく

2009年7月29日 07時01分

 守る民主、攻める自民−。今回の選挙戦はこんな基本構図になりつつある。かつての総選挙では政権与党が先行し、野党が攻撃を仕掛ける構図がほとんどだったが、今回はこれが逆転している。自民党は自分たちの主張以上に民主党の批判を強める野党的な選挙戦術を展開。民主党を疑似的な与党として位置づけている印象さえある。 (自民党取材班)

 「(民主党のマニフェストは)選挙用のフライフィッシング(毛針釣り)みたいなもんだ」(与謝野馨財務相)「甘い言葉には裏がある」(野田聖子消費者行政担当相)。民主党が二十七日公表したマニフェストに対し、閣僚や自民党幹部は二十八日、内容が現実的ではないとの批判を一斉に強めた。

 麻生太郎首相の不人気や自民党限界説などで同党は苦戦を強いられている。「選挙の顔」として使いにくい首相は街頭演説を控えざるを得ない。党のマニフェストづくりも遅れている。こうした中では、民主党を徹底して攻撃するしか手はないのだろう。

 攻撃の矛先は民主党の政権担当能力、マニフェストの内容と財源に向けられ、国民世論に対し、民主党が政権を担うことへの不安をあおる戦術だ。

 これに最近は政権交代が見えてきた民主党が「図に乗っている」との批判が加わった。民主党の鳩山由紀夫代表が二十六日の演説で「首相(の任)を終えた後、政界に残ってはいけない」と述べたことに対し、自民党幹部は「鳩山発言は本当に国民をバカにしている。もう政権を取った気でいる」と痛烈に攻撃。

 民主党に対して謙虚さがなく、思い上がったイメージを強める狙いのようだが、政権担当能力批判にせよ、高慢批判にせよ、いずれも民主党による政権交代を前提にしたかのような構図を逆に際立たせてしまっている。

 攻撃の一方、マニフェストの公表が遅れているため、自民党は何をするのか、民主党との違いがどこにあるのかを見えにくくさせている。

 二十五、二十六両日の共同通信社のトレンド調査によると、比例代表の投票先は政権担当能力批判が効いているのか、民主党がやや支持を下げる一方、自民党も伸び悩む。攻撃一辺倒の選挙戦術の見直しを同党が求められているのは確かだ。

(東京新聞)

 

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