名古屋市役所で07年に発覚した総額約2億1590万円の裏金問題で、河村たかし市長は13日、裏金作りのために作成された帳簿類を公開した。同文書を巡っては、市側はこれまで「職務上作成した行政文書ではない」と開示を拒み、名古屋市民オンブズマンが公開を求める訴訟を起こしていたが、市政の情報開示を掲げる河村市長が判断を覆した。
公開された文書は1972年のものが最も古く、大半が90年代のものという。アルバイト賃金の水増し請求など不適切な会計処理でプールした金の流れが記載されているとみられる。同日、開示された文書を受け取った同オンブズマンのメンバーによると、文書の中には「国への手みやげ」や「職員の歓送迎会の飲食費」などの支出項目があったという。
オンブズマンは08年11月、市が07年度に全庁で実施した裏金調査に関する文書について開示請求したが、市は請求を却下。オンブズマンが却下処分の取り消しを求めて今年1月、名古屋地裁に提訴し係争している。
公開文書に目を通したオンブズマンの内田隆事務局員は「公費として使っていいか疑わしいものがある」と指摘。「私的流用はないとしてきた市側の説明が覆る可能性がある」と話した。訴訟を継続するかどうかは文書を精査した上で判断するという。【岡崎大輔】
毎日新聞 2009年7月14日 東京朝刊