衆院解散の21日、県内の立候補予定者も駆け出し「夏決戦」が事実上スタートした。自民党が圧勝した前回05年からは一転、民主党に勢いがある中で迎える衆院選。前回、風に乗って初当選した「小泉チルドレン」は逆風の厳しさを特に感じている。その一人で9区の山内康一氏は「改革は進むどころか逆行している」と離党、その他のチルドレンは自民に残って議席の死守を誓った。「政権交代」の波に乗る民主の対抗馬は議席奪取をうかがう。チルドレンとライバルの一日を追った。
■9区
「政策や方向性が目指しているものと違う。納得できる目標で戦いたい」。21日夜、山内氏は衆院第1議員会館で会見した。
山内氏は国際協力事業団職員や国際NGOを経て、05年に自民県連の候補者公募に応募。共感した小泉構造改革路線と現状のずれに「最後まで迷ったが、公認をもらうと迷惑がかかる」と語った。解散直後に離党届を党本部に提出、9区から無所属で出馬を検討している。渡辺喜美元行革担当相との連携については「公務員制度改革など考え方は近い」と述べるにとどめた。
21日夕の県連選対会議。出席した地元・川崎市多摩区選出の土井隆典県議は「大変裏切られた思いが強い」と、やるせない表情。竹内英明幹事長は「寝耳に水の話。自民党が今弱くなったから移りたいだけなんだろう」と突き放した。
1週間をめどに代わりの候補擁立を地元支部で進め、見つからなければ県連レベルでの公募なども検討する。
「驚いた」。民主前職の笠浩史氏は山内氏離党を解散後に知った。ただ「選挙の戦い方に影響はない」と冷静に受け止めた。「これまで通り、政権交代がなぜ必要か、われわれが何をやるのかをしっかりと訴えていく」【吉住遊、笈田直樹、木村健二】
■5区
自民前職の坂井学氏は午前7時、JR戸塚駅で演説後、横浜市戸塚区内にある父親の墓前に手を合わせ東京都内へ。解散直後、衆院本会議場を出てきたところで「着々と淡々とやるだけ。でも(自民批判の)雰囲気も変わってくるんじゃないか。わき立つものはある」と自らを奮い立たせた。公認証を受け取り地元へ戻ると、選挙対策会議や瀬谷区でのミニ集会をこなし早速始動した。
民主元職の田中慶秋氏は午後1時過ぎ、党本部(東京都千代田区)へ向かう乗用車内のテレビで解散を知った。「やっと本番」と笑顔を見せつつ「万歳どころではない。暮らしや元気を取り戻す戦い。本気でやらないと」と表情を引き締めた。
午後4時前からJR東戸塚駅で演説。前回は公示日に当時首相の小泉純一郎氏が坂井氏の応援に駆け付け、勢いを見せつけられた因縁の駅だ。「政権交代で官僚政治を打破し、皆さんの手に政治を取り戻そう」と声を上げた。【笈田直樹、山衛守剛】
■7区
自民前職の鈴木馨祐氏は午前7時から東急東横線綱島駅(横浜市港北区)で朝立ち後、両院議員懇談会と衆院本会議に出席。解散後、党本部で公認証を受け取り地元へ戻った。
前回は比例単独候補で当選し、今回は自民前職の引退に伴い小選挙区に移る。同じ境遇のチルドレンは全国でも2人だけだ。「さきほど解散になりました」。小雨がぱらつくJR新横浜駅前(横浜市港北区)で濡れながら訴えた。「日本を変えるためには今立ち止まってる暇はない」
民主元職の首藤信彦氏は閣議決定を受け、電車で党本部(東京都千代田区)へ。「4年間待ってようやく(選挙に)たどり着いた。ここから最後の直線もすごく長い。息の続く限り走るしかない」と力を込めた。公認証を受け取った後は、菅直人代表代行のグループの会合などに出席した。【山衛守剛、笈田直樹】
■14区
「万歳の時、4年間を振り返り国会議員の重さを考えた」。自民前職の赤間二郎氏は解散直後の国会廊下で、上気した表情で話した。前回は新人ながら、民主党最高顧問の藤井裕久氏に大勝。今回は「民主党に吹く風は大きいが、またここに戻ってきたい」と当選を誓った。地元に戻り支持者らに報告した。
民主新人の本村賢太郎氏は党本部で公認証を受け取ると地元にとんぼ返り。午後6時半すぐさまJR相模原駅頭で遊説し「今度は何としても議席を得て政権交代を」と訴えた。藤井氏の秘書を務めた直系の後継。「追い風を背に、この40日間で知名度を上げて頑張りたい」と表情を引き締めた。【吉住遊、高橋和夫】
毎日新聞 2009年7月22日 地方版