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日本のマンガ、実は世界でウケてない!【その4】
DVD流通量はアメリカ1%、フランス2%程度。
かつての“バブル”はとっくに崩壊していた
◆所詮はニッチ産業。クールジャパンの幻想
アメリカの「クールジャパン」がバブルだったとすれば、ヨーロッパ随一のオタク大国フランスの事情も似たようなものだ。フランスでは'80年代に民放テレビ局が大幅に増加、番組枠を埋めるために当時は格安だった日本製アニメが多数放送された。その影響で日本アニメのファンは多い。今では、絶版された劇画作品が翻訳されて売り出されるほど、その人気は高いものとなっている。
ところが、昨年、フランスでもっとも発行部数の多かった日本マンガは『NARUTO』の最新刊の22万部。一方、BD(バンドデシネ。フランス独自のマンガ。日本だと『タンタンの冒険』などが有名)の人気作『ティトフ』は、昨年発売の最新刊で183万2000部も発行されている。また、日本アニメのDVDシェアは、わずか約2%に過ぎない。
では、なぜ、日本人は総理大臣以下、「クールジャパン」に踊っているのだろうか。『マンガ論争勃発』の著書があるマンガ研究者の永山薫氏は、こう分析する。
「日本のアニメやマンガが世界で売れているように見えるのは、熱狂的なオタクが盛り上がっているだけ。アメリカでは『週刊少年ジャンプ』英語版は売れているけど、それでもニッチな割合です。国家的産業とみるのは、かなりの幻想でしょうね」
まだまだニッチの域を出ない日本のマンガ・アニメ産業だが、今後の成長にはどのような戦略をとるべきなのだろうか。アメリカのアニメ市場を「ビッグなニッチ市場」と指摘するなど冷静な分析を発表しているJETROに話を聞いた。
「例えばアニメの販売方法でもヨーロッパでも地上波デジタルが普及し、チャンネル数が増加。日本のアニメの放送機会も増えています。また、欧州では『脳を鍛える大人のDSトレーニング』や村上春樹の小説は安定した人気を得ています。そうした現状を見ながらその国にマッチした販売方法を考えていくべきでしょう。ディズニーのように"当たり前に、そこにあるもの"に育てていく戦略が求められています」(JETRO担当者)
ディズニーやハリウッドのように、世界中で受け入れられるものを狙って作るのは、実は困難きわまりない。特に性表現や道徳の価値観は大きく異なる。現に、日本では審査を経て販売されていたアダルトゲーム『レイプレイ』も、イギリスなどでは「女性差別」と問題作扱いである。
「どこに出しても"安全な"作品をつくるのはビジネスとして当然の選択肢でしょう。ただ、その結果、作品の魅力をスポイルしてしまっては元も子もないんですけどね」
と、指摘するのは永山氏。日本車が世界を席巻したのと同レベルで、マンガやアニメを語るのはまだまだ時期尚早なのである。
※【クールジャパンとは】
日本のポップカルチャーの盛んな様子、かっこいい姿を表現する言葉。もともと'90年代にイギリスで使われたクール・ブリタニアをもじったもの。マンガやアニメだけでなく、ファッションやJ-POPまで多くの文化が含まれる。クールジャポン、ジャパン・クールも同じ意味
【永山薫】
'54年生まれ。マンガ評論家。主な研究対象はマンガとエロティシズムなど。
近著に『マンガ論争勃発2』(マイクロマガジン社)
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