麻生首相が13日、総選挙の日程を「8月18日公示、同30日投開票」と示したことで、県内の立候補予定者や政党関係者は対応に追われた。自民党が東京都議選で惨敗した翌日の表明に、賛否は分かれた。
(床並浩一、岡戸佑樹)
「総選挙への展望を示すことができなければ、『自爆解散』になりかねない」
解散政局をめぐる混乱からこの日、急きょ上京した自民現職の小野次郎衆院議員(比例南関東ブロック)は、解散日を今月21日以降と表明した首相の判断に疑問を呈した。
山梨3区から立候補する小野氏はこれまで、解散を急ぐより、党の政権公約(マニフェスト)の作成を優先すべきだと主張してきた。小野氏は取材に「都議選の結果の総括もなく、この状況でどうして選挙戦を勝ち抜くことができるのか。説明は何もない」と批判。午後は1期生でつくる政策グループ「新しい風」の会合に顔を出した。
山梨1区から立候補する自民現職の赤池誠章衆院議員(同)は13日午前、国会の委員会に出席したあと、午後から地元に入った。18日に選対幹部を集めた事務所開きを予定しており、支持者回りをこなした。
この日、自民党に離党届を出した長崎幸太郎衆院議員(同)と戦う自民現職の堀内光雄衆院議員(山梨2区)は「いずれにせよ、任期満了は間もなくだ」と淡々とした様子。古賀誠・党選挙対策委員長を弁士に招く国政報告会を14日に控えており、「みんなで選んだ麻生首相のもとで選挙をするべきだ」と述べ、「麻生降ろし」の動きを牽制(けんせい)してみせた。
自民党県連幹部の1人も、「景気対策が浸透するまで、投開票日はできるだけ先が望ましい」として、8月30日投票の日程を歓迎した。
一方、昨秋の麻生政権発足時から早期解散を求めてきた野党各党の立候補予定者は、攻撃の姿勢を強めている。
特に、民主党は都議選の躍進を追い風にしたい考えだ。山梨1区に立候補する民主現職の小沢鋭仁衆院議員(山梨1区)と3区の後藤斎衆院議員(比例南関東ブロック)は党本部の役員会終了後、そろって地元入り。党県連と支持団体の連合山梨が13日夜、昭和町内で開いた総決起集会に、2区公認候補に内定している新顔の坂口岳洋氏と出席し、「政権交代を実現するために協力を」と呼びかけた。
1区から立候補する共産新顔の遠藤昭子氏の陣営はこの日、党が都議選で現有議席を減らした点を踏まえ、小集会を断続的に開いていくことを確認した。
幸福実現党の立候補予定者は、知名度不足や政策の浸透の遅れを解消するため、この日も県内各地に政党の街宣カーを走らせた。
◇長崎氏、離党届提出 2区、自民分裂選挙確実に
長崎幸太郎衆院議員が13日、自民党本部に離党届を提出した。山梨2区の公認争いで、堀内光雄衆院議員に敗れてから1年余り。長崎氏は次期総選挙に無所属で立候補する意思を固めており、前回に続いて自民分裂の選挙になることが確実となった。
長崎氏は離党届を提出した後、「公認を求める努力をぎりぎりまでしてきたが、万策尽きた」と離党の理由を語った。
一方、党県連前島茂松会長代行は「遺憾の極みだ」と述べた。東京の議員会館で報道陣の取材に応じた堀内氏は「(長崎氏の一連の行動は)極めて自分本位で無責任」と批判した。 (岡戸佑樹)