「殺人事件被害者遺族の会(宙(そら)の会)」の結成総会が28日、東京都千代田区の明治大学であった。殺人事件の時効撤廃・停止の実現と時効が成立した遺族への国家賠償などを求めていく。時効問題に特化した犯罪被害者の会の結成は初めて。5月には遺族だけではなく賛同者を集めた全国大会を開催する。
宙の会には、国内外の16事件の遺族20人が参加。世田谷一家殺害事件(00年12月)で長男一家4人を失った宮沢良行さん(80)を会長に、上智大生殺害事件(96年9月)で次女を殺害された小林賢二さん(62)を代表幹事に選んだ。会によると、宙には「無限」という意味があり、時効の撤廃・停止の願いなどを込めたという。
活動目的として(1)時効制度の撤廃・停止の実現(2)遺族の権利確立(3)啓発活動の推進--を掲げた。刑事訴訟法を改正して時効の撤廃を求めるほか、時効成立後、国が容疑者逮捕などの責務を果たしていないとして民事上の責任を求めていく。海外の時効制度との比較や国民の意識調査などの情報を発信し啓発活動も進める。
また、3月末までに時効制度の見直しを進めている法相勉強会の結果をみて、法務省などに嘆願書を提出。賛同者に対する署名活動の実施や会員の事件日に合わせた支援活動などを行う。
宮沢会長は「冤罪(えんざい)はあってはならないが、犯人が罰せられない社会はなくした方がいい」と話した。
2009年3月1日