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【社会】

名誉棄損で新聞3社逆転勝訴 共同通信の記事掲載

2009年7月28日 21時45分

 東京女子医大病院で2001年、心臓手術を受けた少女が死亡した事故をめぐる報道で名誉を傷つけられたとして、担当医=業務上過失致死罪で起訴、無罪確定=が、共同通信と、配信記事を掲載した新聞3社に損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は28日、3社だけに賠償を命じた一審判決を取り消し、医師側の請求を退けた。

 逆転勝訴した3社は秋田魁新報(秋田市)、上毛新聞(前橋市)、静岡新聞(静岡市)。医師側は上告の意向。

 都築弘裁判長は、記事について「医師の社会的評価を低下させた」と指摘。一方で、病院の調査報告書などを根拠としていることを挙げ「真実と信じた相当の理由がある」と判断、一審に続いて共同通信の賠償責任を否定した。

 その上で、新聞社と通信社は、運営費用を負担し、記事提供を受けるといった相互関係があり、共同通信には「正確、敏速な配信をする必要な組織、態勢が整っている」と指摘。3社は求められる注意義務を共同通信が履行すると期待して依拠し、共同通信はその履行を引き受けていたとして、賠償責任はないと結論付けた。

 一審東京地裁は「相当の理由があるかは、責任主体ごとに判断すべきだ」として、記事を掲載した3社だけに賠償を命じていた。

 判決によると、共同通信は02年7月に「最悪の事態、なぜ?」などの見出しで、医師のミスが事故を招いたとする記事を配信した。

 判決は、通信社の報道システムについて「全国民にあまねく種々の情報を伝達する道筋の確保から有用。国民の知る権利に奉仕する報道形態として尊重すべき」と評価した。

(共同)
 

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