2009年7月27日
本日深夜移動のため、メールをお休みします。
ニューメキシコ州アルバカーキにて 田口壮 
2009年7月26日
「たまには少しゆっくり行こうか」と思って、ホテル出発のバン第2便に乗ることにしました。スケジュールによると、1便の出発は2時15分、2便は3時15分。
いつもは1便どころか、自分でタクシーを拾い、バンよりずっと早く球場入りするだけに、最終に乗るのは、なんとなく不安がつきまといます。
そして、不安を増幅させるかのように、出発前15分になっても誰も来ない。
10分前にも、5分前にも、誰一人見かけません。
さらに、車もなければ運転手さんもいない。って、どういうことなのでしょうか。
このままでは遅刻してしまいます。
ホテルのフロントに、
「球場行きの車が来てない。早く出してください」と言うと、
「ええー?」と明らかに面倒くさそう。
しかし、決まりは決まり、スケジュールはスケジュールなのだから、出してもらわねば困るのです。
「ほら!これ!うちのアイテナリー(予定表)。ちゃんと3時15分に出るはずでしょう?」
今までだったら「仕方ない」「掛け合うのが面倒くさいし、ちょっと怖い」などの理由で、さっさとタクシーを拾ってしまったに違いありませんが、40歳ともなるとだいぶ腹も据わってきたのでしょうか。
結局根気よくフロントを説得し、3時20分過ぎ、12人乗りの
バンに僕たった一人だけが乗り込んで、球場に向かって出発したのでした。
「あっ、来た!」
「なんだよ珍しいな!」
球場入りすると、僕はクラブハウスに到着した最後の一人だったことがわかりました。
選手は全員、1便で到着していたのです。遅刻ではないものの、遅刻したような気分にさせられます。さらに、
(なんで今日に限って全員1便に乗っとんねん)という気持ちが、あたかも仲間はずれにされたような孤独感を感じさせて、5歳児のようにちょっぴり拗ねてしまったのでした。
何歳だろうと腹は据わらんね。
ニューメキシコ州アルバカーキにて 田口壮 
2009年7月25日
このところいつもボビー(ディッカーソン・監督)と行動をともにしているおじさんがいます。どこにでも出入りして、常にボビーと一緒なので、てっきり友達か親類だろうと思っていました。
そのおじさんが、今日は試合前に、監督室のテレビでずっと「フィリーズ・カージナルス戦」を見ていたのです。
「おりゃおりゃおりゃああーー!いったれフィリーズ〜!カージナルスなんかぶっ潰せー!!」
「いいぞー!いいぞ−!フィリーズいいぞー!」
大変な騒ぎっぷりで、監督室から彼の声援が丸聞こえ。
「よっぽどフィリーズが好きなんやろうなあ・・・」と僕は思うのですが、他の選手はまったく気にしていません。
好奇心を抑えられず、コーチの一人にそっと聞いてみました。
「あのおじさんは誰?」
「ああ、あれはカブスのスカウトだよ!」
ちょうど学生のドラフトが終わったばっかりで、時間ができたので
マイナーを見に来ているとのこと。
フィリーズファンでも何でもなく、カブスを優勝させたいがために、
目の上のたんこぶ・カージナルスの負けを常に願っていること、が、それで明らかになったのです。長らくこのチームにいる選手たちはとっくにそのことを知っていて、僕だけが驚いていたのでした。
スカウトといえば、常に冷静沈着な判断を求められるものですが、仕事を一歩離れると、あんなに熱くなれるんやなあ、とびっくりすると同時に、あそこまで自分のチームを勝たせたいという忠誠心には、頭が下がるし、笑いも止まりません。
カージナルスは今夜、フィリーズのJROLL(ジミー・ロリンズ内野手)の逆転満塁ホームランで沈没し、おじさんの高笑いはいつまでもクラブハウスのほうまで響き渡っていたのでした・・・。
ニューメキシコ州アルバカーキにて 田口壮 
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