マイカー通勤から自転車や徒歩など環境に配慮した通勤手段への切り替え促進に国が乗り出す。環境省は電動自転車を貸し出す企業を支援するほか、国土交通省は「エコ通勤優良事業所」の認証制度を始めた。【下桐実雅子】
環境省は今年度、約6000万円を計上し、埼玉県、兵庫県、京都府の3カ所でモデル事業を実施する。このうち埼玉県では、JTB首都圏(東京都千代田区)が9~11月、入間市商工会や熊谷市内の商社など4事業所に電動自転車約25台を貸し出す。マイカー通勤者が乗り換えて通勤に利用するほか、日中の営業活動にも使う。
同社交流事業推進室は「モデル事業の結果を踏まえ秋以降、全国の都市で、企業や自治体向けに電動自転車貸し出しの説明会を開くなどして広げていきたい」と話す。
兵庫県篠山市では、市の施設を管理運営する一般社団法人「ノオト」が8月から、市役所近くに仮設駐輪場を設置し、電動自転車を配置する。朝夕は市職員らが通勤に使い、日中は観光客に貸し出す。同市はこれとは別に、経済産業省の支援でJRの駅前や駐車場近くに自転車計約150台を設置する。マイカー乗り入れが8割を占める観光客に、公共交通機関や自転車利用を促していく。
国交省は、エコ通勤に自主的に取り組む30事業所を認証登録した。登録されたのは、徒歩の通勤手当(月1000円)を新設し、通勤時の送迎バスを増便したメーカー(静岡県磐田市)▽自転車通勤手当を新設し駐輪場を拡大した工場(福井市)--など。このほか、マイカー通勤の自粛期間に応じて報奨金(1年の自粛で月3000円)を出したメーカー(東大阪市)も含めて、事例集をホームページで公表し、普及を図る。認証は随時行う。
同省は昨年度、エコ通勤の呼びかけに応じた603事業所へアンケートした。それによると、エコ通勤の取り組みで、通勤に伴う二酸化炭素排出量が約12%減ったと推計されるという。
毎日新聞 2009年7月25日 15時00分(最終更新 7月25日 15時00分)