ぷりるん。〜特殊相対性幸福論序説〜 [十文字青]
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一迅社文庫発行 ぷりるん。〜特殊相対性幸福論序説〜 著／十文字青 イラスト／ま＠や ラブラブ光線絶賛放射中な妹――うずみ（♀） 元・天才美少女、自由奔放な姉――綾（♀） みんなのアイドル、気になるクラスメイト――桃川みう（♀） 脚がステキな憧れの先輩――小野塚那智（♀） 彼女たちに振り回される人――ユラキ（♂） ユラキの悩みは今日もつきることなく、“ぷりるん”はまた現れる。十文字青流、新感覚系ラブストーリー誕生！思春期に巻き起こる少年少女達の苦悩とぷりるん。に込められた想いが起こす奇跡の物語。
この作品を単純なラブコメとして読むと・・・ヤラレマス＾＾；
一迅社文庫はたまにこんな直球を投げるような作品を出してきましたが、今回前半中盤結構重くて読むのが辛いと思ってしまいつつも決して途中でやめられない、やめるとおかしくなりそうな中毒的なものを感じて一気に読みましたが、セキララに語られる登場人物たちの愛憎模様に十文字先生独特な語りと演出が冴え渡っていました。
新感覚ラブコメというか不思議系ラブコメであり、タイトルのぷりるん、そして副題がどんなつながりを持ってくるのか最後になるまで謎めいていたりと、最後まで一気に読まないとストレスがたまってしまいそうなドロドロとした人間関係に読み手も悩みながら主人公の置かれていく状況の変化に考えさせられるものがありました。
みんな家庭や今の生活のどこかに傷をもち、いつ破綻してもおかしくない微妙なバランスで立っているそんな中、自分が家族と血のつながりが無い事、そして付き合い始めた彼女の奇行ともとれる性への執着、姉の変身、妹の家出、親友の裏切りと一気に瓦解していく環境に精神的に追いやられていく主人公を陰ながら支えていくぷりるんの存在と、平和だった序盤からの急激な展開とどん底へと突き落とされた主人公が本当の愛に気付くまでの(ちょっと重めな)ラブコメディ。
終盤で見せたユラキの激白とみうに投げかけた愛する事への問いかけシーンからの転換はよかったです。
途中で投げ出さず、そして死を脳裏にちらつかせながらも逃げなかったユラキ自信が変わっていく様に最後まで読んで良かったと思いましたね。
いきなりの妹からの浴びせられるお兄ちゃんＬＯＶＥ模様に、これからの展開に心躍らせていた為どんどん鬱っぽくなる物語に対しかなりへこまされました＾＾；
しかし、それでも最後まで読み進めると一つの答えを見つけたユラキが自分にとって大切なものが何なのか？この壊れた関係をどのように修復またはどんな形で再構築していくのか？その結末に驚きと不思議すぎさに色んな感情が渦巻く奇妙なラブコメにきっと頭を悩ませてしまうある種の面白さが広がります。
性への捉え方などいまどきな部分とかなり直接的な表現があるので、軽めではありますがあわない人にはあわない作品でしょう。ほんのすこしＮＴＲ要素もあったりするので中々波乱づくめの物語になっています。
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