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第91回全国高校野球:千葉大会 八千代東、初の夢切符 接戦で拓大紅陵降す /千葉

 第91回全国高校野球選手権千葉大会(県高野連、朝日新聞社主催)は26日、千葉マリンスタジアムで決勝があり、八千代東が拓大紅陵を5-4で降し、春夏通じて初の甲子園出場を決めた。ノーシード同士の対決となった決勝は、初回に先制した八千代東を拓大紅陵が追い上げ、同点とする展開。今大会、ぎりぎりの接戦を勝ち抜いてきた八千代東が九回に勝ち越し、優勝を飾った。全国大会は8月8日に阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開幕する。【黒川晋史、荻野公一】

 ▽決勝

八千代東

  400000001=5

  012010000=4

拓大紅陵

 八千代東は初回、先頭打者が四球で出塁すると、青石優太選手(3年)の左前打と送りバントで1死二、三塁。東海大望洋戦で土壇場に同点2ランを放った上条優太選手(同)が、流し打ちで三遊間を鮮やかに破り2点先制。山本夏幹選手(同)の三塁打と村上浩一投手(同)のスクイズで2点を加えた。

 拓大紅陵は二回、相磯鷹人選手(同)が左前打で出塁し二盗、バントで三進し、熊岡大成選手(同)のスクイズで1点を返した。三回には、高橋弘樹選手(同)が、真ん中に入ってきたカーブを振り抜き、風速10メートルの逆風をものともせず左翼席に運ぶ2点本塁打で1点差に。

 拓大紅陵は三回に海野智弥投手(同)が登板。五回、犠飛で同点に追いついた。以後は8試合連続先発の八千代東・村上浩一投手(同)とエース同士の投げ合いとなった。

 八千代東は九回、先頭の広瀬和将選手(同)がセーフティーバントで相手の失策を誘い出塁、バントで二塁に進んだ。高橋勝之選手(同)の詰まった打球は中前に落ち、大きくバウンド。右翼手が捕球したが、広瀬選手が三塁をけって勝ち越しのホームを踏んだ。

 村上投手は走者を背負いながらも粘り強い投球で完投した。

 ◇集中力があった--八千代東・片岡祐司監督

 選手一人一人が集中力を持ってやってくれた。足を絡めてチャンスを作るなど、特別でないことが最後までやれた。甲子園では恥ずかしい試合はできない。けが人が多いので、コンディションを整えさせ、気を引き締めて戦いに臨みたい。

 ◇リラックスできた--八千代東・青石優太主将

 初回からみんなリラックスできていて、チャンスがつぶれても九回まで我慢できた。この夏はチーム全体で楽しく試合ができた。甲子園では自分たちの野球をやって、一つでも多く勝ちたい。

 ◇精いっぱいやった--拓大紅陵・小枝守監督

 選手たちは周りの期待に押しつぶされそうになっていた。優勝は逃したが精いっぱいやった。掛けたい言葉はたくさんあるが、言わなくても分かってくれると思う。「ゆっくりしなよ」とだけ声をかけたい。

 ◇しっかり戦えた--拓大紅陵・高橋弘樹主将

 あと1勝だったので甲子園に行きたかった。でも、自分たちのつなぐ野球ができてよかった。仲間たちとずっと野球をしてきて最後までしっかり戦えたことがうれしい。チームメートはバラバラになるけど、ずっとつながっていきたい。

 ◇九回表、運命の一球

 ○…「ほんとごめん。みんなごめん」。海野智弥投手(3年)は試合終了後、ベンチでしゃがみ込み、泣きじゃくりながら何度も仲間に謝った。先発の加藤貴之投手(2年)が初回に打たれ、自らベンチ前でキャッチボールを始めた。三回表、小茂鳥穣投手(3年)も投げる準備ができていたが、小枝監督に「行けるか」と問われ、はっきり「はい」と答えてマウンドに立った。「悪い流れをなんとか自分で切りたかった」。味方打線が反撃する間、無失点で抑え続けた。九回表1死二塁、詰まらせた打球が中前にぽとりと落ち、決勝点に。「悔いがある。後輩には悔いのないように頑張ってほしい」。球場出口には人垣で花道ができていた。笑みを浮かべ、前を向いて最後の夏を後にした。

 ◇マネジャーも感激

 ○…八千代東のスタンドで率先して応援を盛り上げたのは、3年生マネジャーの佐藤あずささんと坂口真紀さん。1、2年の夏も決勝戦をスタンドで観戦したが「まさか自分たちのチームを見ることになるとは思わなかった」。バケツの水をメガホンですくってまき、チャンスには力いっぱい大きな声を出した。優勝が決まった瞬間、「やった!」と2人でハイタッチ。試合後はグラウンドに出て、選手らと喜びを分かち合った。つらいときも頑張ってチームを支えてきた。「恩返ししてくれたのかも」と感激した様子で話した。

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 ■疾走する球魂

 ◇無欲の笑顔で優勝宣言--八千代東(3年)村上浩一投手

 連投の疲れで球速が落ちていた八千代東・村上浩一投手(3年)のストレートは、九回裏に勢いを取り戻した。2死一、二塁。長打を浴びれば逆転サヨナラだ。「最後だから思い切り投げようと思った」。気合の投球で右飛に打ち取り、甲子園初出場を決めた。

 チームメートがベンチを飛び出し、うれし涙を流しながら跳びはねた。村上投手は、笑顔を浮かべて淡々と選手たちの列に加わった。「一つ一つ勝つことしか意識してなかった。優勝の自覚が全然なかった」という。

 この姿勢が優勝の原動力になった。「うちはいつ負けてもおかしくないから、楽な気持ちで試合ができた」。決勝では同点とされた直後の六回から八回を三者凡退に抑えた。「同点の方がやりやすい」と落ち着いていた。重圧を感じさせない制球で、直球、カーブ、スライダーをコースに決め、相手打線をかわした。

 九回の打席では背中に死球を受け、臨時代走が出た。「大丈夫か」と球場は不穏な空気に包まれた。だが、本人は「むしろベンチ裏で休めてよかった」とケロリ。今大会はほとんど1人で投げたため、ひじや肩に痛みがあるが、試合中は忘れられた。

 夢の舞台行きの切符をつかんだエースは、無欲の笑顔で大きな意欲を語った。「甲子園でも優勝したい」【黒川晋史】

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 ◇八千代東の歩み◇

1回戦  2-1 稲毛

 (延長十四回)

2回戦  5-0 野田中央

3回戦  3-2 安房

4回戦  3-2 東海大望洋

 (延長十二回)

5回戦  4-2 館山総合

準々決勝 3-2 敬愛学園

準決勝  5-4 流経大柏

 (延長十一回)

決勝   5-4 拓大紅陵

毎日新聞 2009年7月27日 地方版

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