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脱北者:「アルファベットも分からないまま進学」(下)

脱北者の子どもたちの苦境

 この日の生徒たちへのインタビューは、国民権益委員会(梁建〈ヤン・ゴン〉委員長)=以下、権益委=が同日、韓国の政府機関としては初めて発表した「韓国に定着した脱北者に関する総合実態調査」の結果、「脱北者の子どもたちの高校以上への進学率はかなり低く、高校中退率も非常に高い」ということが明らかになったのを受けたものだ。21日に公開された権益委の資料によると、昨年4月現在、脱北者の子どもたちの中学校への就学率は93.9%に達したが、高校進学率は29.9%にとどまった。一方、韓国の生徒たちの高校進学率は、同じ時点で98%を越えた。権益委はまた、2007年現在、脱北者の子どもたちの中学校中退率が12.9%、高校中退率は28.1%に達した、と発表した。なお、韓国の子どもたちの中退率は、中学校・高校ともに1%未満となっている。

 権益委も最近、脱北者の子どもたちとの面接調査を通じ、学校における状況について把握した。「中国の中学校での成績は韓国では認められないため、17歳で中学校に入り直した。年齢の差があるため、特殊な学校に通ったが、授業には付いていけなかった(E君〈19〉)」「北朝鮮や中国ではほとんど学校に行けず、4歳も年下の子どもたちとともに小学校へ通った。性格が内向的で、体も弱いため、中学校は中退した(F君〈22〉)」といった声が権益委に寄せられた。

 教科書を読みこなし、試験問題を解かなければならない生徒たちにとって、南北間の言葉の壁も深刻な問題だ。「韓国の言葉は非常に難しい(Aさん)」「先生から“キー”を持ってくるように言われたとき、鍵ではなく、農機具の“キ”(作物の実を除去する道具)を一生懸命探した。韓国では外来語や漢字語が多いため、外国語のように聞こえる(Bさん)」といった話もある。

 脱北者の生徒たちに対する、韓国の生徒たちの歪(ゆが)んだ見方も、学習意欲を削ぐ要因の一つとなっている。「アルバイトの面接で、僕が北朝鮮の言葉を使ったため、担当者にジロジロと頭から足下まで見られた」「韓国の人たちに話しかけるのが恥ずかしい」「色々なアルバイトをして、韓国人の友人もたくさんできたが、脱北者という事実は隠している。脱北者だと分かれば、無視されたり怖がられたりするから」といった声が上がった。

 権益委は「途中で学業をあきらめる生徒たちは非行に走る恐れがある」として、脱北者の生徒たちのための学校を増やすといった対策を求めている。また、ハンギョレ中学・高校のクァク・ジョンムン校長は「脱北者の生徒たちが韓国に定着するよう手助けするため、学校間の交流やホームステイなどを政府が体系的に支援していく必要がある」と話している。

安城=安勇炫(アン・ヨンヒョン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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