近年、交通事故による死者数が減ってきている。統計数字に明らかだ。警察庁のまとめによれば、今年1〜6月は全国で2220人と前年同期に比べて3・3%減った。
上半期でみると9年連続の減少という。事故やミスの再発防止へ失敗に学ぶことが大切なのと同様、うまくいった要因の分析も重要だ。2009年版の交通安全白書に「近年の事故死者減少の主な要因」と題する項目があった。
シートベルトの着用率向上、厳罰化に伴う飲酒や危険運転の減少、歩行者のマナー向上などが挙げられている。また、被害軽減ブレーキの開発・普及など車自体の安全性強化も奏功していると記す。
白書に挙げられた以外にも地道な交差点の改良や標識の視認性向上などいくつか思いつく。効果の大きかった対策を一層拡充し、事故減らしにつなげたい。
ドライバーの意識がそれほど高まったとは思えないことが気になる。携帯片手の運転や、無理な割り込みなどが相変わらず目につく。飲酒運転の摘発も後を絶たない。安全意識の向上にはまだまだ策を講じる必要があろう。
白書は年間死者5500人以下の目標前倒し達成を自賛するが、ハードルが低すぎたという気もする。なお半年で2千余の命が失われているのである。限りなくゼロに近づけなければならない。