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その他参考情報

タッピングモード-AFM

【技術分類】
  1−B  原子・分子間の力を検出・利用するもの−AFM群

【技術小分類】
  1−B−1  原子間力顕微鏡(AFM)の基本型

【技術の名称】
  1−B−1−c  タッピングモード-AFM

【技術内容】
  コンタクトモードAFMでは、原子サイズに至る分解能が得られる場合があるが、試料表面に探針が接触しつつ走査されるため、試料表面や探針に損傷が生じる場合がある。一方、NC-mode (非接触モード)AFMでは、試料や探針の損傷の問題は原理的にないが、周波数変調方式のNC-mode AFMによる特定試料の観察を除き、一般的に分解能が劣る。この折衷案として、振動するプローブを試料上方から接近させ、軽く試料に接触して、試料のAFM像を得る方法が開発された。図1に装置構成の概略図を示したが、カンチレバーを共鳴振動数ωoの近傍で、バイモルフピエゾ素子により振動させる。カンチレバーの振動振幅は光てこ方式を利用して、フォトセルで検出され、振動信号が信号処理される。試料表面を走査中、サンプル−探針間の相互作用力に由来するカンチレバーの振動特性の変化分ΔA、Δφ、Δωを検出し、これらの変化量を画像化することで、局所的な表面構造や表面の物理化学的特性を示す。Δφを画像化する方法はPhase imagingと呼称されており、高分子表面の観察では、ΔAを画像化する方法よりも表面構造についてより明瞭な情報をもたらす場合がある。
  このモードは名称が各種ある。例えば、Tapping-mode AFM、またはIntermittent contact mode、cyclic contact modeあるいはdynamic force microscopeと呼称されている。

【図】
  図1  タッピングモード原子間力顕微鏡の構成概略図
タッピングモード原子間力顕微鏡の構成概略図
  出典:「ナノテクノロジーのための走査プローブ顕微鏡」、(2002年)、日本表面科学会編、丸善株式会社発行、44頁  図3・12  タッピング方式原子間力顕微鏡の構成

【応用分野】
  ・高分子や有機物、生物試料(細胞、蛋白、DNA)など、固体試料に比べて柔らかい試料の形状測定

【出典/参考資料】
  (1)「ナノテクノロジーのための走査プローブ顕微鏡」、(2002年)、日本表面科学会編、丸善
  (2)Characterization and optimization of scan speed for tapping-mode atomic force microscopy; Rev. Sci. Instrum., Vol.73, No.8, pp.2928-2936 (2002); T. Sulchek, G.G. Yaralioglu, C.F. Quate and S.C. Minne; American Institute of Physics

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[更新日  2003.3.28]