ノンコンタクトモード−AFM(NC-AFM) |
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【技術分類】 |
1−B 原子・分子間の力を検出・利用するもの−AFM群 |
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【技術小分類】 |
1−B−1 原子間力顕微鏡(AFM)の基本型 |
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【技術の名称】 |
1−B−1−b ノンコンタクトモード−AFM(NC-AFM) |
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【技術内容】 |
ノンコンタクトモード原子間力顕微鏡(NC-AFM)では、コンタクトモード原子間力顕微鏡(C-AFM)とは逆に、カンチレバーは試料表面とは接触しない距離で走査される。カンチレバーをバイモルフピエゾ駆動素子等より強制的に振動させるモード(AC-mode)が主であるが、カンチレバーを振動させないモード(DC-mode)もある。NC-AFMではAC-modeが極めて重要な役割を果たすので、以下AC-modeの説明を行う。図1にバネ定数 k、固有共振周波数ωo のカンチレバーの振動振幅と位相のモデル曲線を示す。カンチレバーが試料から十分に離れている時には、ωo =ck1/2である(cはカンチレバーの質量で決まる量)。ωo は、例えば長さ125μm、幅30μm、厚み4μmの矩形のカンチレバーでは、300kHz程度である。 カンチレバーが試料に近づき、力Fの影響を受けると、共振周波数は、力勾配F' = dF/dZ(一般的には負の量)で決まるωnew (=c(k + F')1/2)へシフトする。図1や図2で明らかなようにωnewでは、ωoの時に比べて、振幅がΔA変化している。従って、表面を走査しつつ、ある一定の振動数で振幅変動分(ΔA)を測定すれば、表面からのF'の情報の分布を描くことができる。この原理を利用して、表面電位の分布や、磁気力の分布など描く走査型表面電位顕微鏡(走査型ケルビン力顕微鏡や、走査型マクスウェル応力顕微鏡)、磁気力顕微鏡などの走査型プローブ顕微鏡が開発されている。振幅のみならず位相の変化(Δφ)や、振幅が最大となる周波数ピークのずれ分(Δω=ωo - ωnew)にも、F'の情報が含まれている。 |
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【図】 |
図1 カンチレバーの振動振幅と位相 |
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出典:(株)ダイヤリサーチマーテック作成 |
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図2 カンチレバーの振動振幅と位相 |
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出典:Reprinted with permission from Frequency modulation detection using high-Q cantilevers for enhanced force microscope sensitivity; J. Appl. Phys., Vol.69, No.2, p.668 (1991); T.R. Albrecht, P. Gruetter, D. Horne and D. Rugar; Copyright 1991, American Institute of Physics; FIG.1 |
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【応用分野】 |
・走査型表面電位顕微鏡(走査型ケルビン力顕微鏡や、走査型マックスウェル応力顕微鏡)や、磁気力の分布など磁気力顕微鏡などの走査型プローブ顕微鏡における力勾配検出法 |
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【出典/参考資料】 |
Frequency modulation detection using high-Q cantilevers for enhanced force microscope sensitivity; J. Appl. Phys., Vol.69, No.2, pp.668-673 (1991); T.R. Albrecht, P. Gruetter, D. Horne and D. Rugar; American Institute of Physics |