コンタクトモード−AFM(C−AFM) |
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【技術分類】 |
1−B 原子・分子間の力を検出・利用するもの−AFM群 |
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【技術小分類】 |
1−B−1 原子間力顕微鏡(AFM)の基本型 |
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【技術の名称】 |
1−B−1−a コンタクトモード−AFM(C−AFM) |
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【技術内容】 |
AFMは、図1に模式図を示すように、試料表面の原子とカンチレバー先端部にある探針の尖鋭部分の原子が近接した場合に、それらの間に作用する力の測定を原理としている。近接部分の原子や分子間には、原子結合距離程度の近距離では斥力が、それ以上の遠距離ではファン・デル・ワールス力などの引力が作用する。このような力は、半経験的に次式のようなレナード-ジョーンズ・ポテンシャルUの微分で近似されている。 |
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ここでa1、a2はある定数であり、dは探針先端部原子と試料表面原子の距離である。AFMでは引力領域と斥力領域での測定が可能である。例えば、図2に示すように、カンチレバーは引力の場合は試料側に、斥力の場合は反対側に曲がり、カンチレバー先端部が微小変位する。 この変位を測定するために、図1に示した最初のAFMではSTMの装置構成で、STM探針が導電性カンチレバーの変位を測定するために利用された。その後、光てこ法あるいはレーザ干渉法などの光学的方法で変位量が検出される方法が用いられ、Z方向の高さ情報が得られている。Z方向の変位を測定しつつ、STMと類似の機構を用いてX、Y方向へ試料面全体に走査すると、力学量に基づく表面の3次元像が得られる。プローブとして利用されるカンチレバーには、微細金属線や、超LSI製作用の微細加工技術を利用して作製したSiO2、Si3N4、SiなどのV字型や矩形のマイクロカンチレバーが使用される。カンチレバーのバネ定数が例えば10N/mで1nNの力を測定すれば、Z方向には0.1nmの変位が検出される。 コンタクトモード(接触型)AFMは、上で記載した斥力領域で動作するAFMで、プローブと試料表面が接触した状態で利用される。最初に発明されたタイプで、当初、AFMと呼称された。その後、プローブと試料が接触しない状態で動作するAFMが開発され、これはノンコンタクトモード(非接触型)AFMと呼称されている。 |
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【図】 |
図1 AFM原型の構成模式図 |
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出典:Atomic Force Microscope; Physical Review Letters, Vol.56, No.9, p.931 (1986); G. Binnig, C.F. Quate and Ch. Gerber; The American Physical Society; FIG.2 |
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図2 試料‐プローブ間距離とカンチレバーの変位量の関係模式図 |
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出典:(株)ダイヤリサーチマーテック作成 |
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【応用分野】 |
・試料表面の原子配列、分子配列の構造等の観察や評価、更には原子・分子の加工・操作にも利用可能 |
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【出典/参考資料】 |
Atomic Force Microscope; Physical Review Letters, Vol.56, No.9, pp.930-933 (1986); G. Binnig, C.F. Quate and Ch. Gerber; The American Physical Society |