|
きょうのコラム「時鐘」 2009年7月26日
旅行は、出掛ける前が最も楽しいといわれる。例外はいくらもあるが、期待を膨らませ、いざ足を運んだらがっかり、という経験もある
「公示なき選挙戦」に入り、「マニフェスト」という片仮名が連日、紙面をにぎわせる。いわば、あすの暮らしを案内する「お薦めツアー」みたいなものか。声高に「目玉」を売り込む一方で、それをけなす声も出て、思案にふけるのも悪くはない 「日本三大がっかり」なる名所がある。札幌の時計台、高知のはりまや橋、残り一つは諸説あって、長崎のオランダ坂や沖縄の守礼の門など。観光ポスターで抱く印象と本物との大きな「落差」に驚き、がっかりする。要注意の観光案内もある 長い間使われてきた「選挙公約」と言わず、耳になじまぬ「マニフェスト」の大合唱である。公約とは、破り、破られる「がっかり」でしかない。そう連想されて久しいから、ぎこちない外来語にみんな飛び付くのだろう 名を改めて、果たして実までが変わるのだろうか。旅に劣らず選挙でも、多少のがっかりは覚悟の上。いまの政治家のおかげで、それくらいの知恵はついた。 |