今年で12回目を迎えた国内最大級の野外フェス「FUJI ROCK FESTIVAL’09」が25日、新潟・苗場スキー場で開催され、5月に亡くなったロック歌手・忌野清志郎さん(享年58)をしのぶアーティスト15人が一夜限りの特別ユニットを結成して“追悼唱”した。清志郎さんは、第2回となる98年から同フェスに7回出演してきた“ミスター・フジロック”。清志郎さんの遺志を継いだ仲間たちが、思い出の地に不滅のロック魂を響かせた。
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ラストは全員集合しての魂の合唱だった。♪どうしたんだ HEY HEY BABY-。泉谷しげる(61)が、仲井戸“CHABO”麗市(58)が、甲本ヒロト(46)が、天国の清志郎さんに呼びかけるように代表曲「雨あがりの夜空に」を苗場の夜空にささげた。
06年にがんが発覚するまで、苗場の夏には当たり前のように清志郎さんがいた。同フェスには、苗場開催初年度となる98年から(03年を除く)05年まで出演。テーマソング「田舎へ行こう!」も提供した“ミスター・フジロック”だった。
昨年も出演予定だったが、がんの再発でキャンセル。その時の「すぐに帰ってくるから応援してくれ!」という約束は、この日かなえられた。ライブの冒頭で流されたのは、サイクリングフリークだった清志郎さんが自転車で苗場に到着する生前の映像。ライブ中にも、05年のフジロック出演時の映像がスクリーンに流れ、出演者と“共演”した。思い出の地に“帰ってきた”清志郎さんを目にし、会場は「おかえり」代わりの大歓声に包まれた。
チャボの「いい事ばかりはありゃしない」、UAの「スローバラード」…。遺志を継ぐアーティストたちが一夜限りのユニット「忌野清志郎 スペシャル・メッセージ・オーケストラ」の名の下、清志郎さんが訴え続けた“ラブ&ピース”のメッセージを歌い継いだ。
最後にスクリーンに現れたのは「FOREVER 忌野清志郎」の文字。泉谷は叫んだ。「忌野は死んじゃいねえぜ!!あいつは、ずっとずっとお前らの中にいるぜ!!」。そのロック魂が不滅であることを、会場の誰もが知っていた。