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心停止:子供の7割に前兆…血圧、心拍数の異常

 入院中に突然の心停止などで蘇生処置を受けた乳幼児・児童の7割で、前兆とみられる心拍や呼吸などの異常が起きていたことが、国立成育医療センター(東京都)の調査で分かった。気づいた時点で治療すれば最悪の事態を回避できる可能性があり、センターは前兆があれば即時対応する緊急医療チームを新設する検討を始めた。

 入院患者の急変に対応するため医師や看護師らで作る緊急チームの設置は、海外では広がりつつあるが、日本ではほとんど例がない。

 センターの総合診療部(阪井裕一部長)は02年4月~08年12月、入院した生後3カ月から14歳の患者で、心停止や呼吸不全、急激な血圧低下のどれかを突然起こし、蘇生処置を受けた40人の記録を調査。オーストラリアの王立小児病院が院内の緊急チームを出動する基準に照らし、心拍数や呼吸数、血圧、血中酸素飽和度の4項目のいずれかが蘇生処置6時間前から直前までに、基準を超えていたかを分析した。基準は最高血圧の場合、生後3カ月までが50未満、13歳以上が90未満--などとしている。

 その結果、40人中27人(68%)で1項目以上が基準超過し、3時間以上前に超えていた子も11人いた。結果的に死亡した19人では16人(84%)が基準超過と高い割合を示した。

 しかし、センターには基準超過を「異常」として対応する仕組みがなく、超過していても35%が再検査を受けなかった。

 王立小児病院は02年に緊急チームが対応する制度を導入し、その後、想定外の心停止患者が減ったという。

 センター診療部の伊藤友弥医師は「子どもは病状を訴えられない。医療側が気づくのが重要だ」と話す。【高木昭午】

毎日新聞 2009年7月26日 2時30分(最終更新 7月26日 2時30分)

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