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時評コラム

いまどきのオトナ、いまどきの子ども

「児童ポルノ禁止法改正案」反対論が
「規制」への共感を生む不安

2009年7月22日

多くが「なにがなんでも、とにかく規制」には疑問を持つけれど

 結局「児童ポルノ禁止法改正案」は廃案である。ただし、国会解散によって「時間切れ」になったに過ぎない。秋に再提案という報道もあるが、実際のところは不透明だろう。なにしろ、議員立法として提案した議員諸氏が、晴れて当選し国会に戻ってくる保証はどこにもない。

 いわば「大山鳴動鼠一匹」どころか、ウヤムヤで終わる可能性もある。まさに、子どものことより、政治の事情が優先される事例のひとつだろう。おそらく「改正案」に異議や反対を表明した方々も、このような結末は望んでいなかったに違いない。

 もっとも、規制を主張した議員諸氏に「児童の権利を擁護する(参照:児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律)」発想があったのかは大いに疑問が残る。伝えられている限りでは、「規制」ばかりが強調されているとしか思えない。それどころか、配信されている動画の発言を見ると、あまりにも乱暴な「規制=摘発」だけが目的なような印象さえ抱いてしまう(参照:ビデオライブラリ/6月26日衆議院法務委員会 葉梨康弘氏の発言)。

 とはいえ、反対論も「子どもの擁護」については無頓着に近い。なかには、子どもに関わる現場の方々を「逆上」させた「児童ポルノ禁止は日本のマンガやアニメに大打撃」的な意見もある。それによって「子どもを守るため」という感情が刺激され、乱暴な「規制=摘発」に拍手する傾向も招いている。それでは「逆効果」でしかないし、反対の方々にとっても本意ではないだろう。

 そもそも「児童ポルノ」そのものを肯定するオトナは少ない。また、法律で「禁止」と定めること自体も、多数が支持するところだろう。実際に友人や地域の方々と話してみても、「児童ポルノ」そのものだけでなく、「児童ポルノ禁止法」に反対する意見は皆無だった。その多くは「モラルに反する」や「道義的に許されない」というものである。このような倫理的な観点が「児童ポルノ禁止」の共通した意識なのかもしれない。

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