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2009.07.23
最高指導者ハメネイ師 影響力低下 イラン大統領が独断専行
カテゴリイラン出典読売新聞 7月23日 朝刊
記事の概要
イラン大統領選をめぐる同国の保守・改革派の対立が続く中、最高指導者アリ・ハメネイ師(70)の影響力低下が顕在化しつつある。
ハメネイ師は20日、閣僚や主要機関のトップを集め、選挙の正当性を認めて大統領再選を支持するハメネイ師に、明確な追随姿勢を示さない幹部に「沈黙を続けるなら職務を放棄したことと同じだ」と発言し、いらだちをあらわにした。これはハメネイ師が幹部たちの「日和見」に苦慮していることを認めたものだ。
またアフマディネジャド大統領が17日、姻戚関係のあるマシャイ副大統領を第一副大統領に昇格させた件で、ハメネイ師は大統領に書簡を送り、マシャイ氏解任を迫ったが、大統領は21日、すべての人事を取り消す考えがないと明言したという。これでハメネイ師の面目は丸つぶれの形になった。
ハメネイ師は、大統領選後の混乱が頂点に達した先月19日、アフマディネジャド氏支持を明言し、従来の中立的立場を転換した。これによって改革派や保守派内の反大統領派から反発を買い、大統領に対しては「無条件の信任とのメッセージ」(地元記者)を送る結果となった。
大統領への過度の肩入れが、体制内での超越的立場を失いかねない状況を招いている。
イラン大統領選をめぐる同国の保守・改革派の対立が続く中、最高指導者アリ・ハメネイ師(70)の影響力低下が顕在化しつつある。
ハメネイ師は20日、閣僚や主要機関のトップを集め、選挙の正当性を認めて大統領再選を支持するハメネイ師に、明確な追随姿勢を示さない幹部に「沈黙を続けるなら職務を放棄したことと同じだ」と発言し、いらだちをあらわにした。これはハメネイ師が幹部たちの「日和見」に苦慮していることを認めたものだ。
またアフマディネジャド大統領が17日、姻戚関係のあるマシャイ副大統領を第一副大統領に昇格させた件で、ハメネイ師は大統領に書簡を送り、マシャイ氏解任を迫ったが、大統領は21日、すべての人事を取り消す考えがないと明言したという。これでハメネイ師の面目は丸つぶれの形になった。
ハメネイ師は、大統領選後の混乱が頂点に達した先月19日、アフマディネジャド氏支持を明言し、従来の中立的立場を転換した。これによって改革派や保守派内の反大統領派から反発を買い、大統領に対しては「無条件の信任とのメッセージ」(地元記者)を送る結果となった。
大統領への過度の肩入れが、体制内での超越的立場を失いかねない状況を招いている。
コメント
このマシャイ第一副大統領は、昨年、「イスラエルはイランの友人」と発言して、イスラエルを敵視する保守派から強い反発を買った人物だという。(同紙の記事より)
このような比喩は軍事の世界ではよく使うジョークである。例えば、「北朝鮮のおかげで自衛隊は防衛予算が獲得できる。金正日に足を向けて寝られないよ」と話す様にである。
日本のミサイル防衛(MD)など、まさに北朝鮮サマサマである。・・・というように私も使っている。
ところでイランだが、私は今回の大統領選はアフマディネジャド大統領が巧妙に仕掛けたクーデターだったと考えている。そのクーデター計画のシナリオの中に、ハメネイ師を誘導して大統領選の正当性を宣言させるものがあったと思う。
まさにハメネイ師の一言は絶妙なタイミングで行われた。あの一言で反大統領派(保守派と改革派)は抗議行動から全面撤退した。それくらい強烈な効果があった。
しかしよく効く薬は副作用も強い。あれでイランの最高指導者という立場をハメネイ師は投げ捨てた。これもアフマディネジャド大統領派が立案した最高指導者(宗教者)追放というクーデター計画の重要な部分だったとしか思えない。
ペルシャ人恐るべしである。核とミサイルを弄ぶ北朝鮮の謀略など子供の遊び程度に思えてくる。
それでもイランの主要組織の中枢は革命防衛隊によって抑えられている。これから改革派が巻き返すのは「反大統領運動の組織化」など、時間をかけてやるべきことが山積みである。ホイホイと宮廷革命が起こせるような状況ではない。
ちょうどロシアのプーチン首相が旧KGBの職員を地方政府の要職や、メディア関連企業の幹部、エネルギー業など大企業の重要ポストに送り込んで、ロシアを支配している今の構造に似ている。
ただイラン革命防衛隊は、イラク情勢やアフガン情勢に関与する度合いが少なくなることは間違いない。これからアフマディネジャド大統領と革命防衛隊は攻めから守りに転換する。
このマシャイ第一副大統領は、昨年、「イスラエルはイランの友人」と発言して、イスラエルを敵視する保守派から強い反発を買った人物だという。(同紙の記事より)
このような比喩は軍事の世界ではよく使うジョークである。例えば、「北朝鮮のおかげで自衛隊は防衛予算が獲得できる。金正日に足を向けて寝られないよ」と話す様にである。
日本のミサイル防衛(MD)など、まさに北朝鮮サマサマである。・・・というように私も使っている。
ところでイランだが、私は今回の大統領選はアフマディネジャド大統領が巧妙に仕掛けたクーデターだったと考えている。そのクーデター計画のシナリオの中に、ハメネイ師を誘導して大統領選の正当性を宣言させるものがあったと思う。
まさにハメネイ師の一言は絶妙なタイミングで行われた。あの一言で反大統領派(保守派と改革派)は抗議行動から全面撤退した。それくらい強烈な効果があった。
しかしよく効く薬は副作用も強い。あれでイランの最高指導者という立場をハメネイ師は投げ捨てた。これもアフマディネジャド大統領派が立案した最高指導者(宗教者)追放というクーデター計画の重要な部分だったとしか思えない。
ペルシャ人恐るべしである。核とミサイルを弄ぶ北朝鮮の謀略など子供の遊び程度に思えてくる。
それでもイランの主要組織の中枢は革命防衛隊によって抑えられている。これから改革派が巻き返すのは「反大統領運動の組織化」など、時間をかけてやるべきことが山積みである。ホイホイと宮廷革命が起こせるような状況ではない。
ちょうどロシアのプーチン首相が旧KGBの職員を地方政府の要職や、メディア関連企業の幹部、エネルギー業など大企業の重要ポストに送り込んで、ロシアを支配している今の構造に似ている。
ただイラン革命防衛隊は、イラク情勢やアフガン情勢に関与する度合いが少なくなることは間違いない。これからアフマディネジャド大統領と革命防衛隊は攻めから守りに転換する。