低迷から抜け出せない公式戦を、ほんの少し忘れられると思ったら…。現役時代は9度出場。1991年以来、18年ぶりにコーチで球宴初参加した真弓監督を、予期せぬ仕打ちが待っていた。
国歌斉唱の大役を終えた北海道出身の松山氏が舞台裏を暴露した。試合前、巨人・原監督、中日・落合監督、真弓監督が控えていたセ・リーグの監督室を訪問。強烈な“千春流”のゲキを飛ばした。
松山氏 「この3チームがAクラスに入らないと、面白くない。特に真弓、がんばれ!」
阪神は首位巨人から18ゲーム、2位中日から15.5ゲームも離される5位。借金14でクライマックスシリーズ進出さえ、かすんでいる。熱烈なG党の同氏は原監督でなく、伝統の一戦で3勝7敗2分けと負け越している3歳年上の虎将を、呼び捨てで激励したのだ。
弱虎じゃペナントが盛り上がらない。毒舌家としても有名な松山氏が、皮肉を込めた喝だった。これに反応したのが、昭和28年生まれで真弓監督の同級生の竜将だった。
落合監督 「阪神はダメだよ。故障者が多すぎて…」
昨年は17勝6敗1分けとお得様にしたが今季は4勝7敗と負け越し中。矢野、岩田、久保田が故障で開幕に間に合わず、赤星、藤川、ウィリアムスも前半戦に体調不良で2軍調整した時期があった。敵将として苦しいチーム状況を分析。助け舟を出したつもりなのか、フォローしたつもりなのか…。松山氏を前に、虎浮上不能と断定。
松山氏は「落合! タツノリ(原監督)をいじめるようなことはするなよ。俺は生粋の巨人ファンなんだ。(巨人に勝ちたい)お前たちの気持ちは分かるけど…分かってるよな」と諭すように話して立ち去った。
低迷チームの指揮官に、反論する余地はない。真弓監督は試合後、松山氏からキツーい激励を受けたことを認めた。
「『頑張れと言われました』。頑張ります」
試合前、一塁側で荒木、栗原、ブランコに2月の宜野座春季キャンプ以来となるノックを行っていた。猛虎にも自らのバットで気合を入れなければ…。そんなことが頭をよぎったのかもしれない。お祭りムードが冷める球宴舞台裏。この屈辱は、後半戦の猛反攻で見返すしかない。(野下 俊晴)