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【コラム】ソニー、サムスン、そしてアップル(下)

 世界初の携帯型ステレオカセットプレーヤー「ウォークマン」の市場でも、似たような道をたどった。カセットプレーヤー、CDプレーヤーの成功で自信をつけたソニーは、「ミニディスク(MD)」プレーヤーをカセットテープに代わる記録媒体として発売した。世界一のCD技術を持つソニーは、MDもCDと同じように世界を席巻すると考え、総力を傾けた。だが、ソニー以外のメーカーは、半導体を利用して音声を圧縮する「MP3」に力を入れた。結局、携帯用音楽機器の市場も、米アップル社が発売した「iPod」に取って代わられた。

 アップル社はソニーとは違う手段を選んだ。ソニーは技術がいかに優れているかを強調し、CDに数十万もの曲を保存できることをアピールしたが、アップル社はインターネット上で提供される音楽を簡単にダウンロードできる「iPod」の互換性を強調した。また、アップル社は「iPod」や次世代型携帯電話「iPhone」を自社で生産するのではなく、台湾のメーカーに委託して生産するという方式を選んだ。

 デジタル家電製品の進化のスピードは、ソニーの予想よりも早いものだった。ソニーだけが作ることができた製品は今や消滅した。誰かが新しいアイデアを生み出し、それを誰かが模倣することによって、急速に世界へ広がるようになった。一人で何もかも開発できるという閉鎖的な考え方も崩れ去っている。

 最近、サムスン電子とLG電子は、世界的な不況の中にあって好成績を挙げているというニュースがあった。業績が好調なときには、さらに精進し向上を目指さねばならない。1位に返り咲くまでに数十年かかったとしても、3-4位に転落するのは一瞬の出来事だ。

金泳秀(キム・ヨンス)記者(産業部長)

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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