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【社会】

仲田容疑者那覇で逮捕 千葉の女性殺害・連れ去り 『怖かった』次女は無事保護

2009年7月24日 朝刊

 千葉市花見川区の団地で、洋服店員豊田愛子さん(61)が刺殺され、次女智美さん(22)が連れ去られた事件で、殺人と逮捕監禁の容疑で指名手配されていた住所不定、職業不詳仲田敬行容疑者(28)が二十三日午後四時すぎ、逃走先の那覇市内で発見され、警戒中の捜査員に逮捕された。一緒にいた智美さんにけがはなく、無事に保護された。

 千葉北署捜査本部によると、二人が見つかったのは那覇市牧志の繁華街の路上。智美さんを連れて入った携帯電話店から出てきたところ、サングラス姿の仲田容疑者に任意同行を求め、那覇署で逮捕した。羽田空港経由で千葉北署に移送した。仲田容疑者は、捜査本部の調べに「間違いだらけです」と供述、殺人について「やっていない」と否認し、逮捕監禁容疑は一部認めている。智美さんは「無理やり車に乗せられた。怖かった」と話しているという。

 捜査本部の調べでは、仲田容疑者は豊田さんを殺害後、乗用車で逃走。東北自動車道で北関東方面に向かったが、十九日昼に羽田から親類名義のクレジットカードを使って偽名で航空券を購入、沖縄入りした。二人のうち一人の搭乗記録は親類の名前が使われた。

 この動きを捜査本部がつかみ、捜査員十数人を派遣した。空港の防犯カメラには二人の姿が写っていた。

 逮捕容疑では、仲田容疑者は十八日午前九時二十分ごろ、団地二階の踊り場で、買い物帰りの豊田さんの首などを刃物で切りつけて殺害、犯行後に智美さんを自宅から無理やり連れ去り、近くの駐車場に止めた車に乗せ監禁したとされる。車は見つかっていない。中村修一捜査一課長は、智美さんから相談を受けた後に事件が起きたことに「最大限の努力を払った」と述べた。

◆『逃げる機会』立件の壁 豊田署智美さん被害届出さず

 仲田容疑者に連れ去られた豊田智美さんは十日、愛知県豊田市のコンビニでアルバイトの面接を受けている途中、店員に「千葉から男に連れ去られた」と訴えた。通報を受けた豊田署は、なぜ立件できなかったか。

 署員は雑誌コーナーで立ち読みしていた仲田容疑者を任意同行、智美さんを保護した。智美さんは「刃物を突きつけられて連れ出された」と話し、車からサバイバルナイフが見つかった。

 しかし、智美さんは「監禁されておらず、被害届を出す意思はない」と話し、仲田容疑者は「仕事がなく、姉を頼って豊田に来た。ナイフは引っ越しで使ったまま忘れていた」。脅すには不自然なボンネットの中にあり、押収にとどめた。

 二人は三日前から姉夫婦宅に泊まり、智美さんは犬の散歩も。同署は「逃げる機会はあり逮捕監禁は成立しない」と話す。

 同署は仲田容疑者の姉と、智美さんの姉をそれぞれの身元引受人として呼び、弟を監督、指導する旨の誓約書を同容疑者の姉に書かせた。仲田容疑者にも「一切つきまとわない」と書かせた。

 千葉県警からはその後、「ストーカー被害者として認定する」との連絡があったが、豊田署は「智美さんが処罰を求めておらず、被害届が出ない以上立件はできなかった」と話している。

 ■ 女性殺害・連れ去り事件経過

1月ごろ 出会い系サイトで知り合い、仲田容疑者と智美さんが交際

6月ごろ 2人は別れ、智美さんに嫌がらせのメールや電話が始まる

7月4日 仲田容疑者が乗用車で智美さんを連れ回し愛知県内へ

  10日 愛知県警豊田署員がコンビニ店にいた智美さんを保護

  11日 智美さんが姉と千葉北署に相談

  18日 母愛子さんが団地で刺殺され、智美さんは車で連れ去られる

     東北自動車道の佐野藤岡インターチェンジ(栃木県)で降りる

  19日 偽名を使い羽田から沖縄へ

  20日 千葉県警が殺人と逮捕監禁の容疑で仲田容疑者を全国に指名手配

  23日 那覇市で智美さんを保護、仲田容疑者を逮捕

 

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