中国新聞オンライン
中国新聞 購読・試読のお申し込み
サイト内検索

失速ブラウンカープ<下> 監督の焦り '09/7/25

 ▽打力重視への転換裏目 起用めぐり選手動揺

 2006年から指揮を執って4年目。今季ほどブラウン監督の焦りを選手が敏感に感じ取ったシーズンはない。黒星が積み重なるにつれ、采配(さいはい)や方針が変わり、チームには戸惑いも見えた。Aクラスを続投条件に、進退を懸けた勝負の1年の戦いぶりは、過去3年とは違っていた。

 中でも迷走を印象付けたのは、チーム方針の「スピードを生かした守りの野球」を捨てたことだ。極度の貧打に苦しむ監督は7月9日、フィリップス、マクレーンを併用する「打ち勝つ野球」へとかじを切った。球団との話し合いでも「勝つ確率が最も高い」で一致したからだ。しかし、その後の12試合は1勝11敗と惨敗。完全に裏目に出た。

 ▽外野でミス急増

 最も影響を受けたのは投手陣だった。シーズン序盤、チーム防御率が2点台だった要因について、小林投手コーチは「赤松、天谷の守備範囲に助けられた部分が大きい」という。先発、中継ぎの底上げとともに、守備力が失点を防いだ。

 ところが、外国人選手が外野に入り、失策や記録に残らないミスが急増。あまりの拙守にマウンドで渋い顔をする投手もいた。7月14日の横浜戦で、左前の飛球にフィリップスが追い付かなかった時は、監督も「普通の左翼手なら捕っていた」と誤算を認めるしかなかった。前半終了時、チーム防御率は3点台中盤へと落ちていた。

 方針転換だけでなく、選手起用にも焦りがにじんだ。もともと捕手には守備力を求めていたが、石原、倉の低打率に業を煮やし、7月15日の横浜戦では若い会沢を登録即初先発。「主力に何かを感じてほしかった」という理由の抜てきは“賭け”の側面が強かった。

 ▽道筋まだ見えず

 瀬戸際に立たされた監督の姿は、ナインの動揺を誘った。選手は起用されるタイミングが想定しにくく、プレーに悪影響も与えた。あるベテランは「4年も一緒にやっている。選手はしっかり監督の野球を理解しないといけないのだが…」と漏らした。

 クライマックスシリーズ進出が遠のいた状況で、後半のプランをどう描くのか。「新外国人選手が入って、カラーががらっと変わった。だが、今のチームの布陣なら機動力を使って戦った方がいいと思う」と再び方向転換も示唆。残り60試合、広島が進む道筋は、まだ見えない。(五反田康彦)

【写真説明】勝負のシーズンで苦戦し、ブラウン監督の采配には焦りも見えた(7月22日・中日15回戦)




MenuNextLast
安全安心