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失速ブラウンカープ<上> 歴史的貧打 '09/7/24

 ブラウン体制4年目の広島は、前半戦を35勝46敗3分けの4位で終えた。交流戦終了まで勝率5割だったが、リーグ再開後は6勝17敗と失速。3位ヤクルトとのゲーム差は12に広がり、クライマックス・シリーズ進出は遠のいた。想定外だった極度の打撃不振、チーム方針に掲げたスピード野球の転換…。新球場元年は苦悩の戦いを強いられている。

 ▽「栗原頼み」ほころび

 2009年型打線が「貧打の渦」に沈んでいった。チーム打率は12球団最低の2割3分4厘、84試合のうち2得点以下は44試合を数えた。なぜこれほどの惨状に陥ったのか。発端は「栗原頼み」で打線を編成した点にある。

 「打線は俊足の1〜3番が出塁し、4番以降でかえす」。開幕時、ブラウン監督は明確な攻撃の形を打ち出した。足の速い赤松、東出、天谷らに、昨季の得点圏打率3割6分の栗原が続く。就任3年間で見極め、育てた若い選手を前面に押し立て、戦力の特長を最大限に生かして打線を組んだ。

 厳しい配球集中

 そのもくろみは5月以降、栗原の不振と同時に狂い始めた。主砲のスランプは相手バッテリーの配球が厳しくなったことに尽きる。5、6番の嶋、シーボルに迫力も怖さもなく、マークは4番に集中。四死球覚悟で厳しいコースを執拗(しつよう)に突いてきた。

 栗原は「ボール球を振らせる配球にバランスを崩した。重圧は意識しないようにしたが、結果がほしいという気持ちが大きくなった」と認める。新球場の広さに戸惑い、大振りに。唯一の得点源としての責任感から自分を見失い、打線は機能しなくなった。

 「発展途上の選手が多く、不振が選手の間に伝染した」と小早川打撃コーチ。上位打線で期待された梵や赤松たちも精彩を欠き、機動力を満足に使えなかった。ベテラン緒方、石井さえ苦しむ中、選手からは「前田さんがいれば…」との声も聞こえた。しかし、2軍戦にも復帰できない前田をブラウン監督は当てにしなかった。栗原を後方援護できるレベルの打者の不在が響いた。

 相次ぐ補強不発

 フロントも中軸を務める打者の力量を見誤った。昨オフ、打率3割台のアレックスと契約せず、期待先行でシーボルが残留。5月にマクレーン、6月にフィリップスを補強したが、来日直後の2人にポイントゲッターを任せるのは無理があった。

 今季はチーム打率が2割2分3厘だった1973年以来の低空飛行が続く。ブラウン監督は「ほかの選手が打てないからといって力んだり、焦ったりする必要はないのだが…」とはいう。しかし、若い選手が「歴史的貧打」の渦から自力で抜け出すのは容易ではない=記録は23日現在。(五反田康彦)

【写真説明】栗原の不振とともに打線は機能しなくなった(7月10日・中日10回戦)




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