最優秀選手に選ばれ、賞金ボードを掲げファンの声援に応える中田
「フレッシュ球宴、全ウ0-7全イ」(23日、札幌ド)
見事MVPをゲットした怪物が、思わず本音を漏らした。「持ってますね」。日本ハムの本拠地・札幌のファンが待ち望んだ豪快な一発こそなかったが、持ち前の勝負強さを披露。4打数2安打2打点。やはり中田には華やかな舞台が似合う。
規格外のパワーだった。七回1死二、三塁。4球目の外角スライダーを強引に引っ張った。火の出るようなライナーが左翼線を襲い、ワンバウンドであっという間にフェンスに到達。「橋本君と大田君が回してくれたんで、絶対打ちたいと思っていた」。1年後輩のおぜん立てを無駄にしたくなかった。
二回の1打席目。全ウ先発の蕭一傑に三振を喫し「本塁打を狙ってた。でも変に狙いすぎたら(バットに)当たらないのがわかって、上からたたききるイメージに戻した」と修正した。これが2本の二塁打につながり、「1打席1打席、自分の力をすべて出してフルスイングできた」と満足げ。六回1死一塁からは「完ぺきに盗んだ」という二盗も決め、観衆を沸かせた。
自身と同じく怪物と称される同郷・広島の大田にも、ベンチでは積極的に声をかけた。ライバル意識はない。「大田君の力はスゴイと思う。お互い長距離打者として意識し合っていきたい」と切磋琢磨(せっさたくま)していくつもりだ。
かつてはイチロー(マリナーズ)、青木(ヤクルト)らも獲得したフレッシュ球宴MVP。だが「このままうまく行くとは思ってない。ファームで結果を出して早く1軍に上がりたい」と慢心はない。進化する怪物が1軍で大暴れする日も近い。