阪神・南信男球団社長(54)が、外国人選手獲得ルート拡大も視野に、8月中旬に米大リーグ・ヤンキース、ブレーブスの両球団を訪問することが23日、分かった。メジャー球場の営業ノウハウなどを視察する一方で、外国人調査のため先に米国入りする編成スタッフとも現地で合流予定。球団社長の渡米は異例だが、新外国人補強の失敗が続く中、その打開策として米国球団と太いパイプを築き上げたい考えだ。
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猛虎が長年の課題となっている、助っ人不振の歴史にピリオドを打つため、南球団社長自らが渡米し、打開策に動く。
今回の米国訪問は、かねて先方球団の招待を受け、時期を見計らっていたもの。今春は新型インフルエンザ余波を受けて延期となり、今夏に実現する運びとなった。
球団社長のシーズン中の渡米は異例だが、それだけに単なる表敬訪問の枠を超えた思惑もある。
当初の主な目的は、メジャー式の生の営業形態を見学し、営業運営に生かすことにあった。そのため球団や甲子園球場の営業スタッフも同行する。だが、関係者によると、今回は現地で先に米国入りしている編成スタッフも合流する予定。営業だけでなく編成面、つまりは今後の新外国人の調査、獲得においても、ヤンキース、ブレーブス首脳と太いパイプを築く狙いもある。
阪神は近日中に、三宅、山中両国際担当が渡米し、オマリー、シーツ両駐米スカウトとともに今オフの新外国人獲得に向けた調査を開始する。
自前で獲得した助っ人野手は10年以上にわたって失敗続き。特に昨年はフォードが、シーズン中盤から2軍降格となり、途中帰国した。輪を掛けて今年のメンチの場合は、オープン戦時期から不振を極め、ほとんど戦力にならないまま、近く帰国、そのまま退団となる方向となっている。
こうした現状から、球団は、外国人獲得手法の抜本的な見直しに迫られている。坂井オーナーも、獲得ルートの見直しや、新規開拓を指示しており、今オフの助っ人獲得は、同じ失敗が許されない、大きな転機となる。
今回の渡米訪問は、その国際部門の改革第1弾となりそうだ。メジャー2球団との良好な連携構築に成功すれば、優良助っ人発掘の大きな武器となる。また、今オフのFA動向が注目されるヤンキース・松井についても情報が得られやすくなる可能性がある。
チームは前半戦で5位に低迷。これ以上の不振が続けば、南球団社長も長期間、留守にはしづらくなる。急きょ、予定変更もあり得る状況ではあるが、米国でのミッションは虎の将来を左右する。球団トップ不在では進まない任務だけに、万難を排して海を渡る構えだ。