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裁判員裁判:組抗争公判の除外請求を検討 さいたま地検

 暴力団の抗争事件にかかわったとされる男の公判について、さいたま地検が一般市民が参加する裁判員裁判の対象とせず、裁判官だけの公判とするよう裁判所に求める「除外請求」の検討を始めていることが分かった。事件関係者から裁判員が危害を加えられる危険があると判断したため。除外請求は前例がなく、地検は裁判員法の解釈について上級庁と詰めの協議を進める方針だ。

 地検が除外請求を検討しているのは、埼玉県警が6月に逮捕した山口組系暴力団幹部、伊藤一也容疑者(39)の公判。地検は17日にも裁判員裁判の対象となる組織犯罪処罰法違反(組織的な殺人)の罪などで起訴するとみられる。

 県警によると、逮捕容疑は08年4月に他の組員たちと共謀し、埼玉県ふじみ野市内の住吉会系組事務所の駐車場で、住吉会系暴力団幹部(当時35歳)を拳銃で射殺したとしている。

 捜査当局は前日に山口組系関係者が刺殺されたことへの組織的な報復とみており、地検は公判で裁判員が伊藤容疑者や証人に背後関係を追及する質問をした場合、事件関係者から危害が加えられる可能性があると懸念している。

 裁判員法は3条で除外規定を設け、その条件を「裁判員候補者や裁判員が畏怖(いふ)し、出頭を確保することが困難な状況」などとしている。ある捜査関係者は「広く国民に参加してもらうための制度だから、除外のハードルは高い。実際に襲撃の予告などがなく、懸念があるだけでは裁判所に認められない可能性がある。だが、予告なしに襲われる心配もあり、除外対象とすべきでは」と話している。【浅野翔太郎、飼手勇介】

 【ことば】▽裁判員対象事件からの除外請求▽ 裁判員法3条に規定。地方裁判所は、被告が所属する団体から加害予告があるなどし、裁判員や裁判員候補者に危害が加えられる恐れがあって裁判員候補者の確保が難しかったり、裁判員の職務遂行ができないと認められる場合は、裁判官だけの裁判を開くことができる。検察官や被告、弁護人が地裁に除外を請求できる。

毎日新聞 2009年7月17日 2時30分(最終更新 7月17日 9時57分)

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