政権選択の選挙戦が始まる中、麻生総理と民主党の鳩山代表が対照的な動きをみせています。麻生総理は業界団体へ異例の協力要請、鳩山氏は街頭へ出ての支持の訴えです。
22日の日本経団連やJAに続き、麻生総理は23日も日本電気工業会などの業界団体を相次いで訪問しました。23日だけで12団体、衆院選での支援を求め、総理自らが団体に出向くのはきわめて異例のことです。
訪問先では、4度の補正予算を成立させた政権与党としての実績をアピールし、経済政策を継続することの重要性などを説明するなどと共に、民主党の政策を批判。自民党への支持を訴えました。
「小さな一票一票が自民党を助けてくれるんだと、今回の選挙にかける意気込みと言いますか、それも人一倍あるのではないかと」(全国漁業協同組合連合会 宮原邦之代表理事専務)
「我々としては、まず大きな国家としてのビジョンを明確にした政策論争をしていただきたい」(日本商工連盟 岡村正会長)
訪問を受けた業界団体からは「麻生総理は鬼気迫る感じだった」という声が上がる一方で、「訪問をこちらからお願いしたわけではない」と戸惑いの声も聞かれました。
麻生総理と対照的な動きをしているが、民主党の鳩山代表です。
「新しい日本の政治の歴史を、みなさん、つくろうではありませんか。起こそうではありませんか」(民主党 鳩山由紀夫代表)
鳩山代表は、連日の街頭演説を23日から再開。官僚主導の政治からの脱却を訴えるとともに、与党側が批判している政策の財源問題について「必ず見い出すことができる」と自信を見せています。
その民主党は、衆院選の政権公約=マニフェストのもととなる政策集をまとめました。
この中では消費税について、社会保障目的とすることなどを前提に「引き上げ幅や使途を明らかにして国民の審判を受け、具体化する」と、将来の引き上げの可能性を明記しました。
また、行政改革では与党の議員100人以上を政府の中に送り込むことや、税金の無駄遣いを減らすための「行政刷新会議」の設置など、官僚主導から政治主導への転換を強調しています。
一方、外交・安全保障分野ではこれまで反対してきたインド洋での海上自衛隊による給油活動には触れず、海賊対策のために「自衛隊を派遣することも認める」とするなど、現実路線が目立ちます。
「あれだけ国会で反対して、選挙が近くなったら現実的になった。ぶれたというのはそういうことじゃないのかねと、言いたくなる」(麻生首相)
「この後に及んでも、自民党さん、マニュフェスト、私達がもう出来上がったものですから、マニュフェストが遅れている」(民主党 鳩山由紀夫代表)
このように指摘された自民党ですが、まだ詰めるべき点があるとして、細田幹事長はマニフェストの発表は来週木曜以降になるとの見通しを示しました。
また、公明党とは与党として共通の公約づくりで合意、さらに党首同士の公開討論を野党に呼びかけることを確認しました。(23日23:05)