日本中で"現象"を巻き起こした氣志團が、約3年ぶりのGIGを開催。
新たな伝説のスタートを4/25、4/26の日本武道館で切った。
「GIG会場の候補はふたつ。木更津でやるのか、日本武道館でやるのか。
とにかく自分たちもファンの皆も熱くなれる一番格好良い場所で演りたいって思った時に、武道館は、誰もが認めるロックの聖地だし、あの日の丸の下っていうのがぴったりじゃないかと」(綾小路 翔)
「最初は、おいおいマジかよって不安。でも変な興奮が来て、すぐにやってやろうじゃねえかって盛り上がりましたよ」(白鳥松竹梅)
「決まってからは楽しみでしょうがなかったですね。早くやりたくて。去年1年間、自分のバンドでGIGやりながら、氣志團への気持ちがどんどん昂ぶっていきました」(星グランマニエ)
「武道館をセンターステージにするんだって、その図面を見せてもらった時に、俺が観に行くとしたらすごいドキドキするなって。
その瞬間にこのGIGはすごい面白いものになるぞって確信したのを覚えてます」(西園寺 瞳)
「まず氣志團のメンバーでステージに立てるというのが楽しみであり、興奮もしました」(白鳥雪之丞)
「>Θ:ΛΣΦ(解読不能)」(早乙女 光)
そこに待っていたのは、過剰な演出もダンサーもゲストもいない、6人だけのシンプルな姿。満員の客席から、前も後ろも丸見えの回転式センターステージが、さらに6人を裸にしてみせていた。
「初めて観た人も何回も観ている人も、みんなが楽しめるステージにしようっていうのを、氣志團は昔から心がけているんです。それは、ダンサーや映像を使うような演出も、今回のようなシンプルな演出でもそう。とはいえ、俺たちも歴史があるんだなと思ったのは、コアファンにはコアファンの楽しみ方が出来ちゃっている部分もあって。
そういう面では、お互いに良いリセットが出来ればなという・・・古くからのファンにしてみれば物足りないって感じる人もいたかもしれないけど、俺らからのそういう意思表示でもあったんですよね。
この3年間で、俺たちって音楽だけで勝負できるんだろうかと。
得意であるギミック的な部分というのをいっさい出さないというのはすごく怖いんだけれども、俺たちは本気なんだというのを来てくれたすべての人たちに伝えたいっていう、思いですね」(綾小路 翔)
武道館を包んだすごい熱気の中にも、かつて経験したことのないような緊張感が漂う。
一方で、下北沢のライブハウスで初めて遭遇した時の、何かが始まる巨大な予感さえ甦ってくる。
そんなステージを実際メンバーはどのように"楽しんだ"のだろうか。例えば、回転するステージをメンバーの後ろから俯瞰で眺めていたドラムスの雪之丞は?
「なんか母親のような気持ちで見ていましたけど(笑)」(白鳥雪之丞)
「こんないい加減な母ちゃんいらねえ(笑)。俺は正直ね、自分が緊張しすぎて、周りがどうこうって感じじゃなかった。1日目は、人生でこんな緊張したことないってくらい緊張しました」(綾小路 翔)
「僕はね、後で映像を見たら、すごい緊張してたんだなって気付いたんです。GIG中は、緊張というより気持ちが昂ぶっちゃってさ。・・・6人でGIGを演るって、メジャーデビューしてからでいえば、初めてって言っても良いと思うんですよね。だから、アマチュア時代のことも思い出したりして。それは、良い緊張だったと思う」(西園寺 瞳)
彼らは、声高に活動休止を謳ったわけではない。
だが、3年という年月が移り変わりの激しいシーンにおいて捨て置けない期間であることも確か。最上段までびっしりと埋め尽くされた武道館2DAYSは、氣志團のヒストリーにどのように刻まれたのか。
「世の中から見れば、結果的に再始動にはなってると思うんですよ。ただ、復活や再始動という言葉を自分たちから使うつもりはなかったし、実際に使わなかった。ガクラン着てリーゼントで表に出て行くから氣志團じゃないよねっていうさ。我々6人のプロジェクトは、形や名前を変えて出て行くことはいろいろあるけど、それも氣志團だよねっていう。3年の間も会ってましたからね。他のプロジェクトでも、このメンバーが曲を書いてくれたり、演奏してくれてたりしてたわけだから。まったく会ってなかったってほうが美しいんだろうけど、俺たち、残念なくらい東京都内にお互いしか友達がいないんで(笑)。
6人で久しぶりに演って思ったのは、"あれ、なに頼もしくなっちゃんてんの? 逞しくなっちゃんてんの?ってことかな」(綾小路 翔)
「嬉しいですねー、すごく」(星グランマニエ)
「3年間の間、違うメンバーとバンドやったりもしたんですけど、この6人でやるグルーブ感というか、独特のノリはもう全然違います」(白鳥松竹梅)
「この6人で飲んでるときの、尋常じゃない盛り上がり方が物語るというか(笑)。でもそういうとこから、ステージのアイデアにつながることとかも本当にありますしね」(白鳥雪之丞)
「周りからしてみたら引くような発言も、お互いさらっと流せるような独特の空気感を築いてきたのかなとは思いますね」(西園寺 瞳)
「*%Σ@д(解読不能)」」(早乙女 光)
数々の代表曲を惜しげもなく披露した彼らだが、そんなキラ星の中でもひときわ輝いていたのが、新曲「木更津サリー」だった。
シンプルなナンバーだが、その分だけ6人の気持ちの塊が直接こちらのハートにも響くような。まるで45回転のドーナツ盤でロックンロールを聴いているような、今のシーンにおいて懐かしくも新しい心地よい興奮。
「新しい曲に関しては、「木更津サリー」も含めてリリースも決めてないんです。
そういう意味では、本当にアマチュアの頃の気持ちに戻ってるかもしれないですね。がむしゃらに皆の心に傷跡を残したいと思ってるだけで。
リリースは、いつだっていい。今も新しい曲の制作に入ってるんで、そんな中で色んなタイミングが合って、出せる曲があればいいんじゃないかという感じですね。
「木更津サリー」は、1年位前からある曲です。スタジオに入って、まず曲をランマ(星グランマニエ)に預けて、ランマがトミー(西園寺 瞳)とアレンジをもう1回してくれて、さらに僕がまたスタジオに入って出来上がったってやつ。
分業制だったんですけど、これがすごくスムーズに出来上がったときに、あ、なんか俺たちの新しい形ができたなーって思ったんですね。
メロディーと単純なコード進行を持っていって、"木更津サリー"ってキーワードを伝える。それに対して、もっと格好良いコード進行を付けてくれて、さらにもっと格好良いリフを乗っけてきてくれて、全然間違いないんです。その流れで、今現在も全部やってる。その化学反応が起こせるようになってきたなっていう実感があって。
とくかく今は曲を作ってるのが楽しい。「木更津サリー」は、今の気持ちに近いというのは確か。でも、我々が今までやってきたようなポップなことだったりハッピーなことだったりというのも、これからも全然やっていくつもりです」(綾小路 翔)
そんな彼らが次のアクションに選んだのは、スタンディング・スタイルの全国ツアー「氣志團現象2009 MIDSUMMER CARAVAN TOUR"ON THE STREET"」だ。
「次のツアーも、とりあえず、全国にサツアイ(挨拶)かましに、"元気? 俺たち相変わらずだぜ"ってのを伝えに行きます。今、皆に最初に届けたいことはライブハウスでの氣志團だなって漠然と思っているんです。原点回帰ってのはあまり格好良いこととは思ってないんですけど、でもどっかでそういうところはありますね。仕込んで仕込んでという俺たちじゃなくて、大事なことは6人がひとつになって音を出すこと。そうすれば演出もクソもないんじゃないって自信が、今はあるんですよ」(綾小路 翔)
あの衝撃のデビュー時を彷彿とさせる、パンキッシュなオーラを纏った6人が、更なる"氣志團現象"に向けて再び走り出した。その胎動ともいえる武道館のステージを、今一度、目に焼き付けておこうではないか。