【発明の名称】 |
包装ケース |
【発明者】 |
【氏名】保利 修市
【氏名】松島 辰男
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【目的】 |
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【構成】 |
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【特許請求の範囲】
【請求項1】 リサイクルに適した単一材料がポリプロピレン製であって、ラベル、シール等のシート状の貼り付け部材の全てが包装ケースと同一である単一材料で形成されていることを特徴とする包装ケース。 【請求項2】 前記包装ケースがスライド式の蓋を有する箱型であって、上部にスライド用切り欠きの付いたストッパーによって一方へのみスライド可能であり、前記蓋はスライド時の滑り止めが刻まれていることを特徴とする請求項1記載の包装ケース。 【請求項3】 前記包装ケースが箱型であって、底面の凸状突起と、上面の凹状の窪みが組み合わされることによって、ずれることなく積み重ね可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の包装ケース。 【請求項4】 前記包装ケースが直方体形状であって、本体の凸状の突起と蓋体の凹状の窪みが組み合わされることにより本体に対して伸縮自在で、本体の先端部分が蓋体より太くなっていることを特徴とする請求項1記載の包装ケース。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、主にスローアウェイチップ、エンドミル、ドリル等の切削工具等の包装ケースに関するものである。 【0002】 【従来の技術】切削工具であるスローアウェイチップ等の移動、運搬等のために使用される包装ケースは、箱型のケースがよく知られている。この箱型のケースに各々の工具を例えばガタガタ動くことの無いように1個ずつ配置し、配置が終わると、箱の上部を成している蓋を例えばスライド方式等で閉めることにより、外部からの汚れ等から保護し商品価値を保っている。 【0003】更に通常は、外観からその工具が肉眼で見えるように、例えば上記蓋部分を透明にする等により商品価値を向上させて品質保証に役立てている。又その箱自体に製造者、販売者の検査シール、型番シール等が貼り付けられているもので、品質保証上も、そのようなシールが商品の流通過程でも剥がれること無くケースに貼り付けられている必要がある。 【0004】なお、そのシールには、鮮明にして、且つ油汚れでも容易に脱落しないようにメーカー名や型番等が印刷されているものである。上記の事は箱型にかぎらず、丸型のエンドミル等の切削工具を包装するにふさわしい丸型のものにも適応されている。更にくぎ等の建築資材、建築補修品、釣針、あるいはイヤリング等の装飾品の包装ケースにも適応出来るものである。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】従来、この種の包装ケースは、上記蓋等の透明部分には、その透明さを確保するために、ポリスチレン(以下PSと称す。)を使用し、ケース本体には、ポリエチレン(以下PEと称す。)を使用し、型番シール、検査シール等には耐水、耐油性の紙に、必要な型番等をインキ等により印刷したものを、化学接着剤にて貼りつけていた。 【0006】ところが、このような包装ケースは、例えば工具を使用したあとは不要となる。そして、平成7年6月「容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(容器包装リサイクル法)」の成立により一般消費者が、缶、びん、紙、プラスチック等を分別し、市町村が回収し、製造・販売業者がリサイクルの業務を負うこととなった。 【0007】リサイクルには、同一または他の製品にするのをマテリアルリサイクル、ごみ発電や固形燃料などでエネルギーとして回収するのをサーマルリサイクル(単純焼却と区別される。)、熱分解油化等でもとの原料にもどすのをケミカルリサイクルと呼び大別されると考えられる。 【0008】例えばPS,PE及び紙の組み合わせは、一体物ではないのでマテリアルリサイクルあるいはケミカルリサイクルは困難である。単純焼却以外のサーマルリサイクルにもあまり適していない。 【0009】従来、例えば切削工具包装ケースは、蓋、本体及びシールが各々違った材質で構成されている複合材料が多く、回収、再利用(リサイクル)が困難であった。すなわち、この様な複合材料を単一材料に分別するのは大変な手間であり、事実上不可能であった。又、特にPS,PE等は単純焼却するにも困難で、環境保全の上からも単純焼却は次第に望めなくなっている。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するために、ケースの蓋、本体及シール等を同一材料すなわち全てポリプロピレン(以下PPと称す。) を使用することにより、分別の必要がなく、分別及びリサイクルの両面を解決するものである。PPは透明体あるいは薄物を製造するにも適している。薄物への印刷あるいは化学接着材によりPP同志を貼り付けることも出来る。 【0011】切削工具用の包装ケースがスライド式の蓋を有する箱型の場合では、該包装ケースの蓋にスライド時の滑り止めが刻まれ、上部にスライド用切り欠きの付いたストッパーによって一方へのみスライド可能とした。蓋の移動が容易で、且つ一方へは抜け落ちる心配が無く、従って移動に対して安全なものである。箱型の包装ケースには、底面の凸状突起と、上面の凹状窪みが組み合わされることによって、ずれることなく積み重ね可能で効果的な移動保管に適している。 【0012】又、エンドミル、ドリル等の包装には直方体形状であって、本体の凸状の突起と蓋体の凹状の窪みが組み合わされることにより、本体に対して伸縮自在で、蓋体の先端が本体より太くなっているようなものとすることが出来る。 【0013】 【発明の実施の態様】本発明の包装ケースはPPを用いた完全単一材料にしている。PPは、再溶融によっても、再利用の出来る材料である。シート状にして、紙と同程度の厚みに仕上げて、更に印字が出来るものである。PPは強靱で破損しにくい。したがって、例えば先端の鋭い切削工具等を収納しても、その鋭い切削刃によっても破損することはない。 【0014】PSは透明に出来るが、固い物体へ落下させれば割れやすいというPSの欠点もPPには無い。耐衝撃値(アイゾット試験)がPPは、PSあるいはPEより良好なためと考えられる。PPは透明に仕上げることも可能である。PEは透明化及びシール状への加工には不向きである。 【0015】本発明による箱型及び直方体形状の包装ケースは、例えば海外への工具等の発送にも適したものである。もちろん、リサイクル化がどのように行われるのが好ましいかについての、国際的に統一された見解は、現在は存在しない。 【0016】しかし、例えば「包装廃棄物の回避に関する政令」を制定しているドイツでは同一又は他の製品にするマテリアルリサイクルと、原料にもどすケミカルリサイクルしかリサイクル率にカウント出来ないとしている。そしてリサイクルのために使用材料の明示が要望されている。この様な国への輸出にも本発明品は適合し、そして包装ケースの現地(外国)からの返却は必要とされず、現地でのリサイクルが可能である。 【0017】 【実施例】図1、図2はPPで作成した切削工具であるスローアウェイチップ6の包装ケース(箱型)1個の外観である。2は透明な蓋、3は検査シール、4はスローアウェイチップ6の使用上の注意事項を記載したシール、5はスローアウェイチップの型番を記載したシール、7は蓋のスライド時に有効で、指表面の滑り止め用の刻みこみ、8は蓋をスライドさせるために便利なように切り欠きを作った状況、9はケースを重ねた際に底面の凸状の突起10が入り込むための凹状の窪み、11は蓋のストッパー部分である。なお、上記3,4,5の各シールを1枚にすることも出来るが、本実施例では別々になったものを示している。 【0018】又、使用材料を示したリサイクルマークを蓋2あるいは包装ケース本体1の底面に刻みこまれている。図1から図4には刻みこまれたリサイクルマークの図示を省略しているが、図5にリサイクルマークの例を示している。図5に示されているように、PPであることも表示されている。このリサイクルマークは、単一材料でリサイクル可能である場合に添付する事が認められるもので、リサイクルに適さないシール等が使用されていれば不合格で添付出来ないものである。リサイクルに適さないシール等を剥がせばリサイクル可能な場合には、リサイクルマークを付す事は出来ず、従ってそのような場合には、リサイクルに適しているとは言えず、例えばドイツ国内での流通には向かないものと言える。 【0019】図2の(a)及び(b)は、蓋をスライドさせている状況を概念的に示している。(c)は底の状況を示している。図3は包装ケース(箱型)を重ねた状況である。 【0020】図4はエンドミル、ドリル等のための包装ケースで直方体形状である。本体13の凸状の突起16と蓋12の凹状の窪み15が組み合わさり、本体に対して伸縮自在となり、且つ本体13の先端が蓋12より太くなっている部分14が収納時のストッパーとなっている。本体及び蓋全部を透明にして外から品物が判るようにすることもできる。なお、図4ではシール等のシート状の貼り付け部材(リサイクルマークの表示)の図示は省略している。 【0021】 【発明の効果】蓋、ケース、シール等が全てポリプロピレン(PP)製の完全単一材料で構成されているため、回収を目的として蓋とケースを分別したり、シールを剥がす必要がない。又、回収後のケースは、使用材質が明確であり、且つ単一材質であるため、再資源化がやりやすい。すなわちリサイクル性に優れ、環境保全に貢献する。焼却処分とするにも適している。遠方への物品の発送にも適しており、その場合、包装ケースの返却はリサイクルが可能であり運送費用の関係からも必要としない。 【0022】切削工具用包装ケースが箱型の場合、そのケースの壁面に切り欠きを設ける等により、蓋の端部を指で押すだけで、蓋をスライドさせて開けることを可能にするなど、本発明に使用したPPは、利用しやすい形状に加工するにも適している。
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【出願人】 |
【識別番号】000002130 【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
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【出願日】 |
平成8年(1996)2月28日 |
【代理人】 |
【弁理士】 【氏名又は名称】上代 哲司 (外2名)
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【公開番号】 |
特開平9−226737 |
【公開日】 |
平成9年(1997)9月2日 |
【出願番号】 |
特願平8−41003 |
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