人間の目とデジタルカメラでは波長の感度特性が違うから色によっては同じ明るさに写らないのでは?
というご質問をいただきましたが
結果から言うと「デジカメのカラーバランスはきちんと人間の目に合わせてあるから明るさや色は全く同じ」となります。
そもそもカメラ自身の感度特性が違ったとしてもそれをきちんと人間の目と同じ感度特性に合わせるのが当たり前で、
もし違っていたらそのデジカメはかなり適当なデジカメか、もしくははなから特殊用途のデジカメと言うことになります。
だいたい違っていたら見たとおりに写らないではないですか(^_^;)
この辺については文系の私では説明しきれないので以前にわかりやすく教えていただいた事がありますのでそのサイトをご紹介しますので参考にしてください。
http://f42.aaa.livedoor.jp/~bands/purple/purple.htmlただし、デジカメによっては現実にリアルな描写をする事より、見栄えがよい方を優先する画像処理を行う場合や設定があるので
その場合正しい明るさを表すことは出来ません、ので
もしかするとそのようなデジカメを使っているために出てきたお話のように思えます。
コンパクトデジカメの場合画像処理に手抜きを行ってる例もいとまがありませんし・・・
したがって、正しいカラーバランスおよびトーンカーブで処理されたデジカメの画像での明るさの測定はカラーバランスまで考慮したもっとも正確な明るさ測定器ともいえます。
なにしろ人間の見た目と同じですからもっとも正確な明るさ比較です。
それに対し照度計は基本的に色を識別せずに広いレンジの波長を計りそこから人間の目と感度を相似形にしていますが
それが果たして正しいのかを客観的に判断することが一般家庭ではまず無理です。
基本的にはデジカメ撮って出しの画像は信用できないのできちんとキャリブレーションが必要になるのは計測機器として当たり前ですが、
それでも照度計でキャリブレーションの結果を目にすることは難しいのに比べ、デジカメの場合画像を目の前にしながらキャリブレーション結果を現実と比較できるという強みがあります。
ただしデジカメで撮影した画像を元に明るさを比較するにはいくつか注意があります。
・白飛びさせない
何度も言っていますが白飛び寸前の明るさを100とした場合、白飛びさせたらその部分は明るさが120なのか200なのか1000なのか全く判別できません、
・周辺光がきっちり現実の見た目通りの明るさになるようにキャリブレーションする
多くのデジカメは事実よりも見栄えを優先するためコントラストを上げて暗い部分をつぶす傾向にあります。
「実際には周辺光が明るく見えたのに写真に写すと写ってない」と多くの人が体験していることだと思いますが、
それをそのままにして「写真には写っていないけど実際には周辺光がありました」とコメントで済ますのは無責任というほかありません、
レタッチ疑惑をおそれてカメラ責任を丸投げするのは卑怯ともいえます。
見た目と同じようになるように責任を持ってキャリブレーション(レタッチ)する勇気が必要です。
・シチュエーションに応じた明るさにキャリブレーションする
屋外で照射チャック画像を撮影すると周辺の風景も写りますがこれが重要です。
つまりどのような場所で撮ったかが分かれば万人の目の慣れを考慮した明るさになるわけです。
「目が暗いところに慣れた時の明るさです」と書かずとも、同じ状況に置かれた場合には同じ明るさに見えるというわけです。
百聞は一見にしかずと言いますが、コメントで説明するより確実ですし、コメントなんて見ない人にも有効です。
※2009.7.9追記
色空間
このグラフは色空間を表します、
内側の色の付いた三角形が一般的なデジカメで撮影できて、PCモニターで見ることの出来るsRGBの色空間で、
外側のおむすびのような三角っぽいのが人間の目で見ることの出来る色空間です。
※このグラフは光そのものを表した物ではなく、いつもの照射チェック画像をグラフにした物です。
2009.7.10追記、
ドットがsRGBの外側にもあり、さらに人間の目の色域の外にもあるのは誤差もありますが、デジカメがsRGBの外側の色も記 録している事で起こります、通常PCモニター等に表示する場合は画像はRGBで処理されますが、一般的なデジカメが画像の保存に使用しているJPEGは RGBではなく、YCCで保存されています、YCCで保存するとsRGBの制限にとらわれずに広い範囲の色が保存出来るんですね、そしてその色の一部はモ ニター上には表示できなくてもCMYKインクのカラーインクジェットプリンタでは再現できたりするのでsYCCとしてプリントする機能をEPSONや CANONのインクジェットカラープリンタは持っています。一説ではsRGBが人間の目が感じる事の出来る色の55%のカバー率なのに対しsYCCは 95%という非常に高いカバー率を持つと言われています。もっとも実際に比べてみると鮮やかになった感はあるけどそんなに違うの?といわれれば数値ほどの 差は無いというのが実感でしょう、sRGB外の色はわかりやすく言うと色と言うより鮮やかさとして感じる部分なんですね(^_^;)ちなみにビデオ映像は基本的にYCC記録ですね。
さて、私は過去にデジカメ関連で色空間については飽きるほど書いてきましたし、上の方に書いたリンクにも書いていますが、
実はデジカメの画像をPCで見た場合その色空間は人間の目より少し狭くなっています、
上のグラフ言えば色の付いた三角形の外側でなおかつおむすびのような三角の間にある点(ドット)がそれですね。
上の方で「デジカメのカラーバランスはきちんと人間の目に合わせてあるから明るさや色は全く同じ」と書いていますが、
厳密に言えばこのように人間の目で見える色がデジカメやそもそもPCの画面ではちゃんと見えていないという事が起こります。
ただしグラフの周辺部にいけばいくほど人間の目ではその識別が難しくなることと、sRGBの外側の色はsRGBの中に近似色で再現されるので白を基準にすると明るさに関してはその差は無いと言っても良いでしょう。
このようにデジカメの画像を元に明るさを比較する際に白色を中心とした波長の白色LEDではまったく問題ないのですが、
赤色LEDや青色LED等は単色で波長が極端に狭いので(単波長)わずかな誤差があっても現実とPCモニター上の色がずれてしまう事があります。
もしその色がsRGBの色空間の内側にある色であれば色がずれているのはモニターやデジカメ画像の生成段階におけるキャリブレーションがきちんと行われていないと言うことになります。
基本的には人間の目で見た色とモニターで見た色が同じくなるように調整する必要があります。
実は色に関してはモニターを見る部屋の環境光も影響したりするのですが、本当にきりがありませんね(^_^;)
我々が知っておけばよい範囲としては単波長のLEDの色を合わせるのは難しい
でも白を中心とした白色LEDの明るさの比較には問題ない。
といったところでしょうね。
ちなみに、色の付いた三角形の中の線が交わった部分が白です。
フィラメントバルブのグラフの中の点が広範囲に散らばっているのが分かると思います、フィラメントの光は割と波長が広いのでこのようになります。
Cool Whiteは水色~青部分が多いのが特徴ですね、
Neutral Whiteになるとその部分は減って黄色~赤部分が増えてますね。