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【記者手帳】双竜自社員のため息

 21日午後、ソウル市永登浦区の漢江聖心病院に入院している双竜自動車平沢工場の組立第一係イ・ジェヨンさん(35)の足は包帯に包まれていた。足を動かすたびに顔は苦痛でゆがんだ。

 イさんは6月27日、同僚ら3000人余りとともに工場の正常化を求めて平沢工場に入ったところ、ストを行っていた組合員が投げた火炎瓶に当たって、両ふくらはぎをやけどした。

 やけどした部分をメスで切り取り、9日には太ももの肉をふくらはぎに移植するという大手術を受けた。先週まで大小便も横になったまませざるを得ない状態で、今でも車いすなしに動くことはできない。

 そんなイさんだが、「腹立たしいし悔しいが、ストをしている同僚を恨んではいない」と語る。イ・さんは「火炎瓶を投げたり、空気銃を撃ったりしているのは、全国金属労働組合などの外部勢力や一部の組合員だ。双竜自の労組組合員のほとんどは仕方なく工場にとどまっている」と語った。

 イさんによると、被害者は自分だけではないという。「生活のためにストをしている600人の同僚や、職を失い、肉体労働をしながら日当をもらっている人たち(非解雇社員)すべてが被害者だ」というイさんの言葉の通り、61日目に入った同社のストは、すべてを被害者にしてしまった。解雇された組合員はもちろん、解雇されていない社員も3月に月給の半額を受け取って以降、給料を手にしておらず、1670人の希望退職者は退職金をもらっていない。同社の取引先300社のうち120社が廃業し、地域経済も崩壊した。

 イさんは「工場が正常化されたら、良質の新車を作って会社を再生し、解雇された人々を工場に呼び戻すことが、残された人間の務めだ」と語る。しかし、労組による工場占拠によって、会社は破産への道をひた走っている。労組側は「共生しよう」と呼びかけているが、結局は「みんなで犬死に」する道を歩んでいるというわけだ。イさんは「工場に復帰したら死ぬ気で働いて、必ず会社を再生させる自信があるのに…」とため息をついた。

パク・シヨン記者(社会政策部)

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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