兵庫県知事選(18日告示、7月5日投開票)で、同県姫路市家島町坊勢(坊勢島)の期日前投票の投票率が、25日現在で68・2%と驚異的な数字になっている。坊勢漁協(上村広一組合長)が島内清掃の参加者に現金2000円を支払うとともに、知事選への投票を呼びかけたところ、「投票すれば現金がもらえる」と誤ったうわさが広まったらしい。市全体の投票率は同日現在1・37%で、市選管は困惑している。
漁協や市選管によると、漁協は23~27日に島内清掃すると2000円を支払うキャンペーンを実施。清掃後に投票所にも向かうよう呼びかけた。清掃活動をして漁協事務所で自己申告をすると現金が支払われるが、その際に投票所にある選挙PR用ポケットティッシュを見せて支払いを受けたケースもあり、期日前投票をすれば金がもらえると誤解した住民もいるという。島内の有権者は2176人。22日までの期日前投票者は計約400人だったが、23日からは急増。25日現在で1484人となった。
上村組合長は「特定の候補を応援したわけでなく、少しでも投票率をアップさせようと呼びかけた。現金はあくまでも清掃に対する謝礼」と説明。市選管は「公選法は投票に対する謝礼を禁じている。金銭が支払われていた実態などを調査したい」としている。
知事選では新人の田中耕太郎氏(共産推薦)と3選を目指す現職・井戸敏三氏(自民、公明、社民推薦)が立候補。前回の投票率は33・33%と過去最低だった。【久野洋】
毎日新聞 2009年6月27日 大阪朝刊