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■密漁アワビ流通阻止へ協定
2009.07.24
県漁協など4漁業団体と築地市場5業者
独自取引基準設け来月運用/
 密漁アワビの流通を阻止するため、県漁協(木村稔経営管理委員会会長)など北海道、東北の4漁業団体と築地市場(東京)の卸売業者5社は23日、市場内で取引するアワビの取り扱い基準を策定し、協定を締結することを決めた。8月1日から運用する。個別の水産物の市場での取引について独自基準を設けるのは全国でも珍しいという。

 協定を締結する漁業団体は、県漁協のほかに北海道漁連、青森県漁連、岩手県漁連。

 取り扱い基準によると、漁協など生産者団体が発行する原産地証明書がない出荷品は取引しない。出荷品の箱に出荷者や産地、規格の明示がないものも取り扱わないこととした。取引は原則として、漁協などに登録している「アワビ取扱業者」の出荷品に限る。新規参入の出荷者については、各卸売会社が代表者名や住所、取引金融機関などを確かめることも盛り込んだ。罰則規定は設けなかった。

 23日に築地市場であった協議には、漁協、卸売業者関係者ら26人が出席。今回の基準策定を契機に、全国的なアワビ流通の適正化に取り組むことも申し合わせた。

 県漁協の木村稔会長は「国内最大級の市場で不法アワビが売買できなくなれば、密漁者の活動範囲も一気に狭まる。基準を徹底し、密漁根絶に向けた動きが全国に広がってほしい」と期待する。

 密漁行為は通常、都道府県の漁業調整規則などで刑事責任を追及できる。ただ、逮捕、起訴される事件の多くがアワビの不法所持(同6月以下または10万円以下の罰金)にとどまっているのが実情。漁業者からは罰則が重い窃盗罪の適用や、市場側が取引しないよう求める声が強まっていた。

 築地市場と札幌市中央卸売市場では昨年9月、宮城県産密漁アワビを仲買業者らに販売した卸売会社社員2人が、県漁業調整規則違反罪で摘発された。
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