法華院温泉山荘で熱唱するブルースシンガーの新井英一さん(右)=20日午後、竹田市久住町
標高約1300メートルの高地で開催されているコンサートがある。会場は、くじゅう連山の中ほどにある坊ガツルに面していて、山登りの拠点や“オアシス”として知られる法華院温泉山荘(竹田市久住町)。登山道を1時間半~2時間ほど歩かなければならないが、「清澄な空気の中で聞く演奏は格別」という。
コンサートは、山荘を経営する弘蔵岳久(ひろくらたけひさ)さん(47)が「利用者に楽しんでもらおう」と7年前に始めた。以来、年に数回のペースで開催。演奏者と楽器だけは山荘の車で運んでいる。
会場は約100人を収容できる食堂。聴衆は山荘で宿泊するので、心ゆくまで音楽を楽しむことができる。2007年5月、くじゅうの四季などを織り込んだ「坊がつる賛歌」を歌った芹洋子さんのコンサートには約160人が訪れた。
今月20日には、ブルースシンガー新井英一さん(59)のコンサートを開催した。新井さんは、父親の出身地・韓国を訪ねるなどして自らのルーツを歌った「清河への道」で知られる。
当日は、「山荘の雨量計が1時間に90ミリを記録する豪雨だった」(弘蔵さん)が、地元をはじめ秋田や長野、東京などから約60人が登山道を登って山荘に集まった。
コンサートを企画した大分市の乙女敏子さん(61)=看護師=は「素晴らしいこの場所で新井さんに歌ってほしかった。くじゅう発の文化が生まれそう」と興奮気味。新井さんは「土砂降りの中を来てくれた人たちの気持ちに応えようと、力が入った。雷鳴も響いたが記憶に残るライブになった」と満足していた。
弘蔵さんは「歌手が特別な感情で歌える場所だと思う。歌い手と聞き手の距離が近いのも魅力の一つ。今後もコンサートを計画し、多くの人に楽しんでもらいたい」と話している。
<ポイント>
法華院温泉山荘 国際的に重要な湿地を保全するラムサール条約に登録された坊ガツルのすぐ近くにある。コンサートのスケジュールは山荘のホームページ(http://www.hokkein.co.jp)で紹介している。
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