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2009年7月23日(木)

日の丸と星条旗を載せる次世代「GXロケット」

アポロ11号打ち上げ40周年、日本の宇宙産業のリーダーに聞く(下)

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 川崎 米国で打ち上げるロケットには日本と米国の国旗もつけることになりました。これは米国政府の許可を得ています。1号機の打ち上げは米国空軍のバンデンバーグ基地(カリフォルニア州)を予定しています。これもロッキードが空軍の許可を取ってくれていました。

 GXは日米の宇宙分野での協力関係を象徴するプロジェクトになる。日本はH2Aでロケットの国産化に成功したことになっていますが、実は、米国から重要な部品を調達しています。つまり、米国の協力がなければ、国産ロケットも打ち上げられない。米国との宇宙分野での協力関係は重要なのです。

3000度で500秒の燃焼試験をクリア

 ―― GXの今後の開発スケジュールはどうなりますか。業界内でも「予算の無駄遣い」と批判する声が出ていますが。

 川崎 米国との協力関係を築けるだけでなく、やはりLNGのロケットエンジンを開発する意義は大きいと思います。実績で示すしかありません。

 2012年までに、試作機としての1号機を打ち上げたい。それを成功させ、次のステップで、安全保障のための偵察衛星などの打ち上げ用ロケットとして事業化にこぎ着けたいと思っています。

 商業衛星の打ち上げはコスト的にも難しいでしょう。しかし、偵察衛星などの打ち上げ用としては性能的にも十分、対応できます。今年もGXについては約100億円の予算を出していただいてます。来年度の予算がどれだけ認められるかで、実用化に向けて開発スケジュールも大きく変わってきます。

 本格的な開発の前提となる500秒の燃焼試験は今月初めに成功しました。燃焼温度が3000度にもなるので、500秒というのはかなり高いハードルでした。ロケットでのLNGエンジンは世界でも初めての挑戦ですが、何の問題も起きていません。我々の技術力を示すことができたと思います。



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