【カイロ和田浩明】東アフリカ・ソマリアで、暫定政府軍と急進的イスラム勢力「アルシャバブ」などの戦闘で首都モガディシオからの避難民が急増、22日までの約2カ月半で22万人を超えた。民間人の死者は少なくとも350人、負傷者は1500人に達している。今月末には海賊対処法下の初派遣で海上自衛隊の第2次部隊がソマリア沖で活動を開始する予定だが、海賊発生の根本原因である本土の無政府状態は、好転の兆しが見えない。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、戦闘が激化した5月7日以降、首都からの避難民は少なくとも22万3000人に達した。隣国エチオピアのダダブ難民キャンプには定員の3倍以上の約29万人が身を寄せている。
人道団体が支援しているが、水や薬品、支援資金も不足がち。20日にはソマリア南部でアルシャバブが国連関連事務所3カ所を「イスラムに反する」などと主張し閉鎖した。
一方、14日にはフランス政府が派遣した暫定政府の治安顧問2人がモガディシオで誘拐され、「神の敵」としてアルシャバブによる裁判が行われることになった。誘拐は、フランスが拘束中のソマリア人海賊の解放が目的との指摘もある。
ソマリアでの戦闘では、南部を拠点にするアルシャバブなどの反政府勢力が暫定政府軍への攻勢を強めている。暫定政府を支援する米国は先月26日、軍事訓練や兵器の購入資金、約40トンの武器・弾薬の提供を認めた。しかし、「エリトリア政府の資金援助を受けている」と国連などが指摘しているアルシャバブは活発で、暫定政府の支配権はモガディシオですら限定的だ。
ソマリアに駐留する約4300人のアフリカ連合(AU)平和維持軍に部隊を派遣するウガンダは16日、治安回復権限の強化と増派が必要だと指摘。06年に暫定政府支援で侵攻したエチオピアは、南部に部隊を派遣したとの報道もあるが、米国のけん制もあり、公式には介入に慎重姿勢を示している。
毎日新聞 2009年7月22日 19時50分