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[自然治癒力を高める整体]産後の複雑な体調不良

 

事例―産後の複雑な体調不良

産後の複雑な体調不良―心身の手入れという視点から


※守秘義務の関係上、よく相談を受けるお悩みから事例を作成いたしました。

クライエント
Bさん―35歳、主婦。


事前情報
助産院で出産した頃から次第に気分が落ち込むようになる。恥骨や腰の痛みがひどかったので助産院で骨盤ベルト(コルセット)を購入して装着していたが、一 向に快方に向かわないため、整形外科を受診する。授乳中ということもあり投薬による治療ではなく、湿布とコルセットにて保存的治療を開始する。その後恥骨 と腰の痛みがますます強くなり、気分が落ち込むようになった。このような状態がほぼ一年にわたって続いている。


依頼にいたる経緯
一年もの間、Bさんはずっと「どうにかしなくては」とインターネットで情報を探していた。あるコミュニティで当院を利用している患者さんと知り合い、依頼に至った。


主訴
「恥骨と腰痛をどうにかしたい」


印象
大変疲れておられるように感じた。セッションの間、子どもの面倒をみる人がいないことを心配されていたが、「途中で休憩をとることもできますから」と伝えたら安心されたようだった。


初回セッションで確認したこと
「整体」ということで私が紹介されたということもあり、あらためてセッションの進め方について説明する必要があった。整体には二つの進め方がある。一つは 手技を受けながら自由にお話をしていくなかで何かに気づいたり、癒やされたりという体験を通して自然治癒力を高めていくやり方。もう一つは、患者さんと療 法家が現状について話し合い、積極的に問題解決をねらうやり方がある。 いくつかやり取りがあった中で、「まずは癒されたい」という言葉がしきりに出てきた。自由形式で進める通常のセッションを選択することを決定した。

初回セッションの残りの時間を使って、整体とはどういうものなのか実技を交えながら説明した。腰部、骨盤部だけでも20ポイント以上(かなり高レベル)の 緊張状態だった。 ももからふくらはぎも硬くこわばっており、「出産後からむくみやすくなった」とのことだった。 初回のセッションを終えると、「身体が軽くなったように感じる」とのこと。日々の高緊張状態がうかがえる。しばらくの間、心身を休めるようにすることを セッションの目的とした。


精神的ストレス
患者さんの訴える主訴はシンプルなものから複雑なものまである。例えば、初回に訴えていた恥骨痛や腰痛という主訴に「母乳育児の悩み」「アトピー性皮膚炎 の悩み」などの精神的ストレスが加わることで、患者さんの抱えている問題が複雑化してしまうということがよくある。 複雑な問題を丸ごと扱うのではなく、日々あらわれる細かな主訴に焦点をあててセッションを進めていく柔軟性が必要だろうと思う。

ある回のセッションの中でBさんは、気分の落ち込みと恥骨痛、腰痛とには重大な関連性があることに気づいた。 毎回のセッションの中で日常の育児について振り返るうちに、自分の行動をモニタリングするのが習慣化されたからだ。その頃から少しずつ恥骨痛と腰痛が軽く なってきた。

B さんは特に授乳の際の落ち込みがひどかった。母乳育児について助産院に何度も相談にいったが、かなり厳しいことを言われてきたという。「まずは母親が元気 じゃなくては」という気持ちで無理をしてきたが、そのことで逆に自分を責めていたのかもしれない。そう語ったBさんの穏やかな表情が印象的であった。


肉体的ストレス
Bさんは痛みと落ち込みとの関係性についてお気づきになったが、産後の恥骨痛や腰痛はあくまでも、筋膜や靭帯や神経などにかかる負担によって発生する。 患者さんの気づきによる自然な治癒力を待つことを中心におきながらも、身体にかかった負担をその都度和らげておくことは日常の育児に大いに影響をあたえ る。 Bさんは、周囲のサポートを受けながらも育児を休むことはできない。精神的ストレスに焦点を当てるあまり、肉体的なストレスを軽視してしまってはならな い。

例えば抱っこは腰部、恥骨部への肉体的ストレスの大きな要因だが、問題は抱っこそのもにはなくアンバランスなストレスのかかり方にある。左右の足の裏に均等な力が分散されるよう、骨格や筋・筋膜などの「ストレスのかかるライン」を整えておく必要がある。

また、不規則な夜間の授乳により睡眠のリズムが崩れてしまうということがある。これも、寝かしつけによる姿勢のアンバランスや自律神経のバランスを整えることでサポートする必要があるだろう。


まとめ
様々なきっかけによって起こる気分の落ち込みが、腰痛や恥骨痛などの出産後特有の体調不良を起こすことが分かっている。「産後の肥立ち」というように、出 産後の母親には大きな体調の変化がある。栄養状態が良くなった現代では、体重が戻らないという問題は少なくなったと思うが、目にみえない「肥立ちの悪さ」 というものに悩まされている方が相当数おられるだろうと予想する。

また、核家族化の影響により、母親にかかる負担が大きく増加していることも産後の体調不良に関わっているだろう。

インターネットの普及により、多くの育児情報が簡単に手に入りやすくなった。反面、あまりに厳しい母乳育児や食事法などをすすめているところもあり、それを実践しているうちに心身のストレスが高まっているケースもかなり見ている。

ほどよい育児ができるよう、ほどよい日常生活をおすすめする。そのためにはほどよい心身の健康が必要であり、産後の母親にとって無理のない計画で心身を手入れすることが何よりも重要ではないかと考える。