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30年にならんとする歴史のなかでアニメージュは、数え切れないほどの作品を取り上げています。このコラムではこれまで、本誌の表紙になったり、大規模な特集が何度も組まれたり……といった作品を中心に紹介してきたわけですが、今回取り上げる作品はそれらとは少し趣を異にします。

編集(マ)の『アニメージュ』が愛したアニメ
「どうせオレのページはいつも、カラー4色でもテキストで埋め尽くされてますよ」とぼやいているかどうかはヒミツだが、そんな編集(マ)がアニメージュ誌面を飾ったアニメを分析すると……。
第9回 元祖「ネタアニメ」!?――『戦国魔神ゴーショーグン』  2008.03.25


 正味な話、一度も表紙にもなってないし、アニメGPとかも獲得してない。だけど、アニメージュの歴史のなかで微妙な感じに存在感が大きい――そんな作品があります。
 タイトルは『戦国魔神ゴーショーグン』。
 1981年から放映開始された、いわゆるスーパーロボットアニメです。おそらく最近の若者に対しては「スーパーロボット大戦でお馴染みの」といったほうが通りがいいのでしょうね。

 で、ぶっちゃけ「アキヤマンのプロジェクト・ロボ」の第4回でもテーマになっているので、内容についての詳しい紹介はぜひそちらを参照していただきたいのですが、とにかく“変な”作品でした。アキヤマンのコラムで紹介されているように、全体的にやや斜に構えた“大人っぽい”ムードが特徴で、特に筆者が記憶しているのは合体シーンです。

 昔のスーパーロボットといえば、戦いの前に「合体シーン」「変形シーン」の数十秒〜1分くらいは続こうかという長いバンクが入るのが常識でした。で、一緒に観ている母ちゃんに「悪者は、合体してる間に攻撃しちゃえばいいじゃないの」とか言われて「そういうことじゃないんだよ!」とイライラする子供が全国に多数存在しました。ところが『ゴーショーグン』はそれを逆手に取り、「合体し終わるまで待ってる敵」の様子を臆面もなく描写してみせました。ある回では、「今回は時間の関係で急いで合体するぞ!」的な台詞とともに合体バンクを短めに編集、その光景を見た敵の幹部に「ほ〜、やれば出来るじゃないの」と言わせたりします。

 全26話の本放送中に実に3度も放映枠が移動するという憂き目に遭い、決して恵まれた作品ではない……はずでしたが、上記のような作風とキャラクターの魅力で一部の熱狂的な支持を受け、1982年には劇場版、1985年にはOVA『戦国魔神ゴーショーグン 時の異邦人』が製作されるという、案外息の長いシリーズになりました。

 実は、このシリーズ継続に関しては、アニメージュも一役買っています。本誌での扱いは特筆するほど多くはなかったものの、1982年に創刊された「アニメージュ文庫」の最初のラインナップには本作のノベライズが入っています。おそらくは「(雑誌誌面で)不特定多数に訴えかけるにはクセが強すぎるが、(単行本を求める)一定の層には強く支持されている」という判断だったのではないでしょうか。そして、おそらくその判断は正しかったのでしょう。後に、原作・首藤剛志さんによる計8冊の後日談・番外編が、アニメージュ文庫から刊行されることになるのです。ちなみに、小説版3作目からはタイトルは『ゴーショーグン』でもゴーショーグンという名のロボットは登場しなくなり、メインキャラクターたちがさまざまなシチュエーションで事件に巻き込まれる「キャラクター小説」と化していきます。

 今振り返ると、昨今流行の「ネタアニメ」(個人的にはあまり好きな言葉ではありませんが)の先取りだったのかもしれません。またキャラクターが作品から独立した人気を獲得し、後日談や番外編へという展開は、その後のアニメ業界の有り様を予見していると言えなくもないでしょう。
 ただし、そうしたある意味「先鋭的」な作風は、ロボットアニメに対するメタな視点を安易な“嘲笑”に堕するのみならず、テーマとして作品内に落とし込もうとした首藤さんをはじめとしたスタッフの創意の賜物だったということは、特筆しておいた方がいいでしょう。

 ゴーショーグンの必殺光線「ゴーフラッシャー」は“意志を持ったエネルギー”という設定です。そしてこの光線は、最終的に「浴びせた相手のメカに意志を持たせる」という代物へと進化します。意志を持った敵メカは……メカ同士で意味なく殺し合いたくないと、自爆していくのです!
 “パロディ”というのは、正しくこういうもののことを言うのだと、個人的には思うのです。

 

 
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