2009年7月23日4時0分
日食ツアーを終え、村営船「としま」から悪石島の島民に手を振るツアー客ら=22日午後4時37分、鹿児島県十島村、山本壮一郎撮影
日食ツアーを終え悪石島を離れるツアー客に手を振る島民たち=22日午後4時27分、鹿児島県十島村、山本壮一郎撮影
国内の陸地の上空では46年ぶりにあった22日の皆既日食。6分半近い皆既時間の長さで注目された鹿児島県トカラ列島の悪石島(あくせきじま)では「世紀の天文ショー」は雨の中で幕を閉じ、観測ツアー客の離島が始まった。「また来ます!」。離島第1陣の人たちは、見送る島の人たちに笑顔で手を振って、船に乗り込んだ。
スライドショーで各地の表情を紹介悪石島に滞在していた報道陣以外のツアー客約150人のうち約50人が22日午後4時半ごろ、大きな荷物を抱えて、村営船「フェリーとしま」に乗り込んだ。
この日の悪石島は、皆既状態になった午前11時前は風雨が強まり、太陽は見えずじまいだった。それでも、皆既状態の間は近くの人の顔もわからなくなるほど暗くなった。
「過去にも日食を見たことがあるが、こんなに暗くなったのは初めて。来てよかった」と東京都の会社員浅野久美子さん(42)は話した。21日にあった交流会も印象に残るという。島に伝わる仮面神「ボゼ」が登場し、ツアー客らを歓迎した。
東京都の小学校教諭小木地恵子さん(59)も「子どもたちが一生懸命ソーラン節を踊って歓迎してくれた。島の人たちと交流できてよかった」と振り返った。
「またお越し下さい」。島を離れる第1陣を見送りに港に集まった島の婦人会員たちは、フェリーの甲板に立ったツアー客らに声をかけた。婦人会長の有川暢代さん(42)は「雨が降って喜ばれなかったんじゃないかと不安もあったが、また来たいと言っていただいて感謝、感激です」と笑顔を見せた。
長い人で島に4泊するツアー客の残りの人たちは、23日中に島を離れる。昨年末から受け入れ準備の陣頭指揮を執ってきた島の自治会長、有川和則さん(57)はフェリーを見送る島の人たちを見ながら、港で感慨深そうに話した。「会うときのうれしさ、別れるときの悲しさを歌った島唄(しまうた)のことを、久しぶりに思い出したね」(白井伸洋)