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「児童買春で会社員の男を逮捕」といった新聞やテレビの報道をよく見かけますが、なぜいつも逮捕されているのは「買春」した側の大人ばかりなのでしょう？　「援助交際」などといって売春した側は罪に問われないのでしょうか？　というわけで、弁護士の方にお話を伺いました！

今回ご協力いただいたのは児童性犯罪の専門家である大阪弁護士会の奥村徹先生。「売春した側に罪はあるのか？」「児童と児童の間での売買春も刑罰が与えられるのか？」などなど、わたしたちが良く知らない児童買春に関しての疑問をぶつけてみました。

■児童買春とは、そもそもどういった犯罪ですか？

これは『児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律』の第2条2項に定義されていますが、

・児童
・児童に対する性交等の周旋をした者
・児童の保護者、または児童をその支配下に置いている者

これらに対して、お金などの対償を与えて当該児童に対し性交等をすることを言います。

■性交等、というのは…？

つまり性交だけでなく、性交類似行為や、または自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性器等（性器、肛門又は乳首）を触ったり、もしくは児童に自己の性器等を触らせることも含まれます。

■ということは、「お金を払って、お尻を触った」というような場合は、児童買春には該当しないのですか？

臀部のみの場合はこの定義にあたりませんが、青少年条例の「わいせつ行為」に該当する可能性はありますね。

■お金などの対償を払わなければ、児童買春にはならないんですか？

いいえ、性交等の前に「対償供与」か「対償供与の約束」が有れば成立しますよ。つまり、事前に約束か支払いがあることが要件なので、結果的に払わなくても児童買春罪は成立するんです。

■なるほど、いわゆる「やりにげ」が許されてはおかしな話ですもんね…ところでこの場合の児童とは、何歳から何歳までを指すんですか？

18歳未満です。ただし、被害児童が13歳未満の場合は、性的承諾能力がありませんので強制わいせつ罪や強姦罪が成立するんです。児童買春罪が成立するかは疑問ですね。

■買春した側には、どんな刑罰が与えられるんでしょうか？

初犯・1回で「五年以下の懲役又は三百万円以下の罰金」になるから、数回やっていると、最高7年6月まで加重されることがあります。ちなみに刑期が3年を超えると執行猶予はつきません。

■児童買春というと「男が女児を」というイメージがありますが、逆に「女が男児を」という場合でも同じ罪になるんでしょうか？

ええ。法律上、性別や異性・同性は関係ありません。

■たとえば児童と児童との間で売買春があった場合、どちらかまたは双方に刑罰は与えられますか？

被害者に刑罰はありません。また、法律上、犯人の年齢は関係ありません。ただ、買春したのが少年の場合は、少年法の手続きになるので、ただちに刑罰が科せられることはないですね。

■そもそも売買春とは同意があることが前提の罪ですよね？　同意して売春する側は罪に問われないんでしょうか？

児童買春法には規定がありませんし、売春防止法にも、売春した女子を処罰する規定はないんです。ただ、"ぐ犯少年"として補導されて、保護処分を受ける例は多いですね。

■エッ、全く刑罰が与えられないんですか!?　では、売春をした児童の保護者への刑罰や指導などはないんですか？

（売春を）周旋等していない限り刑罰はありません。せいぜい、警察で説教されるくらいですね。

やはり売春した側が罪に問われることはないようです。例え同意があったとしても児童買春が絶対に許されない愚劣な行為であることは間違いありません。

（written by H14）